【8月5日 AFP】英国の農場で家畜伝染病の口蹄(こうてい)疫(foot and mouth disease)が発生した問題で、同国政府は家畜へのワクチン接種について難しい判断を迫られている。

 同国では2001年にも口蹄疫が流行。被害の拡大を防ぐため約650万から1000万頭の家畜が焼却処分された。これを受け家畜へのワクチン投与に関する議論が持ち上がった。

 今回の口蹄疫のウイルス株はすでに特定されており、英国の科学者らは国内や欧州のワクチンバンクでワクチンが入手できるか、またそれらが使用に適しているかを確認するという。

 英国の科学分野の学術協会である王立協会(Royal Society)は2004年、ワクチン投与の緊急対策準備が乏しいとして政府を批判した。

 2002年に王立協会が行った、2001年の口蹄疫拡大に関する調査を率いたブライアン・フォレット(Brian Follett)卿はサンデー・タイムズ(Sunday Times)紙で、世界中でウイルス拡大の脅威が高まっていることから、英国はワクチン投与に対する消極的な姿勢を再考する必要があると述べた。

 フォレット卿は、英国はこれ以上の家畜の大量処分に耐えられないとし「英国ではこれまで、食用にしてもなんら問題がない場合でもワクチン接種を受けた家畜を食物連鎖の中に組み込むことを拒んできたが、これらの問題を解決する必要がある」と指摘した。(c)AFP