【7月9日 AFP】前立腺ガンの原因となる遺伝子の変異が、結腸・直腸ガンのリスクも高めるとする複数の論文が8日、専門誌「Nature Genetics」に掲載された。

 3つの研究グループが数千人の健康な人と前立腺ガンと結腸直腸ガンのいずれか、あるいは両方を発症した人のDNAを比較したところ、8番染色体の変異がこれらの疾患のリスクを大幅に高めることが分かった。

 世界保健機関(World Health OrganisationWHO)によれば、腸および直腸のガンで死亡する人は、肺ガンの130万人、胃ガンの100万人、肝臓ガンの66万2000人に次いで多く、年間65万5000人にのぼる。

 これまで結腸・直腸ガンは、喫煙や脂肪過多で野菜・果物不足の食事などの生活習慣に加え、少数の比較的珍しい遺伝的変異によって引き起こされると考えられていた。今回の研究により結腸・直腸ガンと別の種類のガンが共通の遺伝的リスク要因を持つことが初めて示された。

 遺伝的にガンにかかりやすいことが分かれば、医師が定期検診や生活習慣の改善をアドバイスする上で役立つと考えられる。将来的には遺伝的変異があっても発症を抑える医薬品の開発につながる可能性もある。(c)AFP