【7月4日 AFP】毎日少量のチョコレートを食べると、体重が増えるなどの副作用なしに血圧が下がるという独ケルン大学(University of Cologne)のチームによる研究が、米医学雑誌Journal of the American Medical Association(JAMA)7月4日号に掲載された。

 これまでの研究ではチョコレートの血圧降下作用は認められていたものの、糖分や脂肪、カロリーの過剰摂取による悪影響が懸念されていた。

 この研究では、56-73歳の高血圧前症あるいは第1期高血圧症患者44人を対象に、糖分と脂肪分の低いダークチョコレートを少量摂取したときの効果を調べた。

 被験者に対し、2005年1月から2006年12月の18か月間、30ミリグラムのポリフェノールを含有したダークチョコレート6.3グラム(30カロリー)あるいはココアを含まないホワイトチョコレートを無作為に投与した。

 ダークチョコレートを食べた集団では、最高血圧が平均2.9mmHg、最低血圧が1.9mmHg降下した。体重、脂質およびブドウ糖の血漿中濃度の変化はみられなかった。また、高血圧症あるいは高血圧の発症を86%から68%に抑制した。

 一方、ホワイトチョコレートを摂取した患者は血圧に変化はみられなかった。

 ダークチョコレートによる血圧降下はわずかだが、高血圧症の患者にとって最高血圧が3mmHg降下した場合、心臓麻痺による死亡率が8%、冠動脈疾患のリスクが5%減少するため、研究チームは「この効果は臨床的に注目に値する」としている。

 さらに研究チームは、現在の心臓疾患の治療法は食生活全体の見直しが必要だが、それに比べて少量のダークチョコレートを食べるのははるかに容易なことを指摘し、「血圧降下の予防的習慣になりうる」との見解を示した。

 今後はさまざまな患者に対し、さらに長期間でダークチョコレートの効果を調べる必要があるとしている。(c)AFP