【7月2日 AFP】ニューヨーク(New York)市は1日、全米で初めて、調理油などに含まれるトランス脂肪酸の飲食店での使用を禁止する条例を施行した。

 ニューヨーク州レストラン協会(NYSRA)は条例に難色を示したものの、ニューヨーク市内のレストラン約2万店のほとんどで油の切り替えが円滑に行われ、ファストフード店でもすでに83%の店舗でトランス脂肪酸を含まないフライ油に切り替えられているという。

 こうした動きについて同市の衛生担当者は、「トランス脂肪酸が含まれるマーガリンが依然として使用されているなど改善すべき点は残っているが、トランス脂肪酸をレストランから一掃することは可能」との見通しを語った。条例は、2008年7月にはベーカリーにも適用される。

 トランス脂肪酸はクッキー、パスタ、ピザ、ドーナツなどに多く含まれ、過剰な摂取は心臓疾患を引き起こすとされる。ハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)によると、トランス脂肪酸が起因する心不全で死亡する人は年間500人にのぼる。

 米政府は2006年以来、食品加工業者に対し、トランス脂肪酸を含む食品にはそれを示す表示をするよう義務付けている。

 同様の使用規制はすでにフィラデルフィア(Philadelphia)などで施行され、多くの州が施行を検討中という。

■カロリー表示

 ニューヨーク市では同日、飲食店でのメニューへのカロリー表示を主にファストフード店に義務付ける規則も施行された。これに対しては、NYSRAが6月15日、マクドナルド(McDonald’s)と共に市を相手取って訴訟を起こすなど、市と全面対決している。

 NYSRAのリック・サンプソン(Rick Sampson)総裁は、食品業界はスケープゴートにされていると批判。「規制をしても肥満は解消されない。米食品医薬品局(US Food and Drug AdministrationFDA)は17、8年前からすべての食品で栄養成分の表示を義務付けているのに、なぜ肥満問題はいまだに存在するのか」と指摘している。(c)AFP/Catherine Hours