【6月28日 AFP】子宮頸がんの原因である2種類のヒトパピローマウイルス(human papillomavirusHPV)に対する新しいワクチンが、10人中9人に対して効果を示すことが、ヘルシンキ大学のJorma Paavonen教授のチームの実験で明らかになった。28日に発表される。

 国連人口基金(UNFPA)によると、子宮頸がんの70%は16型および18型HPVによるもので、年間50万人が発症しているという。浸潤子宮頸がんは放置しておけばほとんどの場合死に至る。

 Paavonen教授は、約9000人の女性に対し第III相臨床実験を行った。一方には実験薬のワクチンを、もう一方のグループにはA型肝炎のワクチンを接種し、15か月以上観察期間をおいた。

 その結果、実験薬は子宮頸がんになる前の病変である異形成90.4%を抑制した。「ワクチンの効果、耐容性、抗原性が確認された」。つまり「広範囲の若年成人女性に対して」免疫反応を示すことが分かった。副作用はほとんどない。

 この薬は、「サーバリクス(Cervarix)」の名で英グラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)社から発売される。同社は実験の資金を提供した。

 同様の薬品では、米メルク(Merck)社の薬ガーダシル(Gardasil)が16型および18型HPVに対するワクチンで、すでに数か国で認可を受け販売されている。

 被験者の半数以上がフィンランド人だが、発展途上国を含む13か国からも参加した。新規発症の90%が発展途上国で起こっている。

 Paavonen教授は電話のインタビューで、「ワクチンは治療より予防に効果がある」と述べ、すでに2種類のウイルスを発症している患者には効かないことを強調した。

 その上で、いずれか1種類に感染している場合は他方のウイルスに対して効果があり、2種類に感染していても「他方のウイルスからいくらかの交差予防」効果があったことを明らかにした。

 UNFPAによると子宮頸がんは女性において2番目に発症率の高いがんで、今後10年で致死率は25%に上ると予想されている。

 このウイルスは性行為で感染するが、英国では今月初頭にこのワクチンを12歳の女子に接種させる法案が提出されており、来年に施行される可能性があるという。(c)AFP

■図解:子宮頸がんのメカニズム