【6月26日 AFP】魚油に視力回復効果や、未熟児網膜症による失明防止効果があることが明らかになった。

■マウスでは網膜症の症状が50%緩和

 英国の医学雑誌「ネイチャー・メディスン(Nature Medicine)」6月号に発表された研究結果によると、サケ、イワシ、カタクチイワシなどの魚類に豊富な「オメガ-3脂肪酸」を少量、網膜症のマウスに与えたところ、網膜症の症状が50%緩和されるという結果が得られ、副作用はみられなかったという。

 今回の実験では、遺伝子操作により網膜症を発症させたマウスを2組に分け、それぞれオメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸を投与した。その結果、「オメガ-3脂肪酸を投与したグループのほうが、いったん破壊された血管が迅速かつ効率的に再生された。網膜への酸素供給が増加し、血管の異常成長がみられなくなった」という。

■未熟児網膜症を治療する臨床実験開始へ

 この実験結果を受け、研究チームはボストン小児病院(Children’s Hospital Boston)で、未熟児を対象に臨床試験を実施する予定だという。

 未熟児網膜症は、目の血管が完全に発達していないために引き起こされるもので、血管が正常に成長せず、網膜への酸素補給が不十分になる。重度の未熟児であればあるほど、網膜症を発症するリスクが高く、症状も重い。酸素不足を補おうとして血管の異常成長が起き、さらに症状が悪化し、最悪の場合には失明に至るケースもあるという。最終的には網膜剥離に至り、その段階まで症状が進んでしまうと対処方法がない。

 網膜症は、未熟児だけではなく、成人糖尿病患者や、老人にも多くみられる。また、世界保健機関(WHO)によると、途上国における児童の視力異常の主要要因が網膜症だとしている。(c)AFP