【6月17日 AFP】性感染症ついて調査していた英政府の審議会は15日、結果を発表し、飲酒と薬物乱用が危険な性行為を誘発し、英国に「性の健康の危機」をもたらしていると警鐘を鳴らした。

 審議会は、若者の性に対する意識は過去12年間で低下の一途をたどり、その要因として、メディアでは日々、パーティーに明け暮れる有名人の姿が取り上げられている実態などを指摘した。

 こうした英国の若者に対する指摘は今に始まったことではない。ユニセフ(UNICEF)は今年2月、英国の子供の生活環境は先進国では最悪で、15歳未満の性交経験率は世界で最も高いと発表している。

 さらに英国人は常々、暴飲することで悪評高い。審議会のJoyce Gould会長は、「子どもたちは10代に入るころから、酒、ドラッグ、セックスが身近にあるライフスタイルを確立していく。われわれは、そうした行動に若者が走る原因をつきとめる必要がある」と述べた。

 報告書によると、英国人の性感染症および10代の妊娠率は欧州で最も高く、過去12年間でクラミジアとエイズ(AIDS/HIV)は300%、梅毒は2000%の上昇と、性感染症はまん延する一方だという。

 また報告書は、性感染症とセックス、ドラッグの間に強い相関関係があるとした上で、飲酒も「無防備なセックスをする可能性を高める」と指摘。さらに、「有名人やテレビドラマの登場人物の乱れた生活を目にし続けると、そうしたライフスタイルに違和感を覚えなくなる」と加え、メディアの与える影響も大きいとした。

 調査結果を受け審議会は、学校での性教育の義務化やコンドームを利用しやすい環境作りなど、対応の強化が不可欠と結論づけている。(c)AFP