朝鮮ニンジンががんに効く?米国で臨床実験
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【6月3日 AFP】朝鮮ニンジンやアマニ油、サメ軟骨といった伝統的な補助食品が、がん治療に有効な可能性があるとの研究が、米国の主要ながん研究会の1つ、米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology、ASCO)で発表された。
伝統的補助食品についての初めての大規模な臨床実験で、化学療法もしくは放射能治療と併用された場合、肺がん患者に対するサメ軟骨の抗ガン作用は観察されなかったが、アマニ油は前立腺がんの進行を阻止することが分かった。動物性油の少ない食事は、前立腺がんの進行を遅らせることはなかった。予備実験では、がん患者にしばしばみられる疲労対策には朝鮮ニンジンの大量摂取が有効であることが分かった。
ワシントンD.C.にあるジョージタウン大学(Georgetown University)のロンバルディ包括がんセンター(Lombardi Comprehensive Cancer Center)血液学の代表Bruce Cheson博士は「がん治療とその副作用における補完代替医療は広く知られているが、治療法の有効性を科学的に検証する研究はほとんど行われてこなかった」と言う。ただし同博士は、補助食品が治療法として推奨されるには、さらに実験を繰り返し期待できる結果を得る必要があると強調する。
■アマニ油、がん進行を遅らせる可能性
アマニ油の実験を行ったノース・キャロライナ(North Carolina)州にあるデューク大学(Duke University)のWendy Demark-Wahnefried博士によると、アマニ油には魚にも含まれるオメガ3脂肪酸が豊富で、細胞膜生成に作用してその拡大を抑える働きがあると考えられている。またリグナンと呼ばれるホルモンの一種を含んでおり、この成分はテストステロンやエストロゲンなどのホルモンを中性化してがん細胞の進行を遅らせる可能性がある。
前立腺がん患者161人に対する臨床実験では、1日に30グラムのアマニ油を摂取した患者における腫瘍の進行は、プラセボや飽和脂肪を投与された患者と比較して30-40%遅かった。
研究者チームは、今後は前立腺がんの治療を終えたが再発の危険性の高い男性に対してアマニ油の臨床実験を行うとしている。
■疲労に効く朝鮮ニンジン
アジアで何世紀も用いられている朝鮮ニンジンは、ステロイドに類似した成分を持ち、疲労に悩むがん患者の間で人気がある。動物実験では滋養作用が観察されていたが、人間に対する科学実験はなかった。
がん患者282人に対する2か月の実験で、1日に朝鮮ニンジンエキス1000-2000ミリグラムを摂取した患者の4分の1がプラセボ群に比べて良好、あるいは非常に良好だと答えた。
「これは期待の持てる実験結果だが、効用を確定するにはさらなる研究を必要とする。現時点ではがん患者の疲労に対して常用は薦められない」と、実験が行われたメイヨ・クリニック(Mayo Clinic)の腫瘍学の専門家、Debra Barton教授は念を押した。
ヒューストンにあるテキサス大学(University of Texas)のがんの専門家Charles Lu準教授は、サメ軟骨の実験を行った。「科学放射線療法と併用したサメ軟骨の抽出物は肺がんに対して効果はない」という結果に、同準教授は「がっかりした」と言うものの、「代替治療になりうる可能性を示したものを含め、抗ガン作用の可能性がある食品などに対して綿密な科学実験を行うことの意義が示された」と話している。(c)AFP/Jean-Louis Santini
伝統的補助食品についての初めての大規模な臨床実験で、化学療法もしくは放射能治療と併用された場合、肺がん患者に対するサメ軟骨の抗ガン作用は観察されなかったが、アマニ油は前立腺がんの進行を阻止することが分かった。動物性油の少ない食事は、前立腺がんの進行を遅らせることはなかった。予備実験では、がん患者にしばしばみられる疲労対策には朝鮮ニンジンの大量摂取が有効であることが分かった。
ワシントンD.C.にあるジョージタウン大学(Georgetown University)のロンバルディ包括がんセンター(Lombardi Comprehensive Cancer Center)血液学の代表Bruce Cheson博士は「がん治療とその副作用における補完代替医療は広く知られているが、治療法の有効性を科学的に検証する研究はほとんど行われてこなかった」と言う。ただし同博士は、補助食品が治療法として推奨されるには、さらに実験を繰り返し期待できる結果を得る必要があると強調する。
■アマニ油、がん進行を遅らせる可能性
アマニ油の実験を行ったノース・キャロライナ(North Carolina)州にあるデューク大学(Duke University)のWendy Demark-Wahnefried博士によると、アマニ油には魚にも含まれるオメガ3脂肪酸が豊富で、細胞膜生成に作用してその拡大を抑える働きがあると考えられている。またリグナンと呼ばれるホルモンの一種を含んでおり、この成分はテストステロンやエストロゲンなどのホルモンを中性化してがん細胞の進行を遅らせる可能性がある。
前立腺がん患者161人に対する臨床実験では、1日に30グラムのアマニ油を摂取した患者における腫瘍の進行は、プラセボや飽和脂肪を投与された患者と比較して30-40%遅かった。
研究者チームは、今後は前立腺がんの治療を終えたが再発の危険性の高い男性に対してアマニ油の臨床実験を行うとしている。
■疲労に効く朝鮮ニンジン
アジアで何世紀も用いられている朝鮮ニンジンは、ステロイドに類似した成分を持ち、疲労に悩むがん患者の間で人気がある。動物実験では滋養作用が観察されていたが、人間に対する科学実験はなかった。
がん患者282人に対する2か月の実験で、1日に朝鮮ニンジンエキス1000-2000ミリグラムを摂取した患者の4分の1がプラセボ群に比べて良好、あるいは非常に良好だと答えた。
「これは期待の持てる実験結果だが、効用を確定するにはさらなる研究を必要とする。現時点ではがん患者の疲労に対して常用は薦められない」と、実験が行われたメイヨ・クリニック(Mayo Clinic)の腫瘍学の専門家、Debra Barton教授は念を押した。
ヒューストンにあるテキサス大学(University of Texas)のがんの専門家Charles Lu準教授は、サメ軟骨の実験を行った。「科学放射線療法と併用したサメ軟骨の抽出物は肺がんに対して効果はない」という結果に、同準教授は「がっかりした」と言うものの、「代替治療になりうる可能性を示したものを含め、抗ガン作用の可能性がある食品などに対して綿密な科学実験を行うことの意義が示された」と話している。(c)AFP/Jean-Louis Santini