【5月29日 AFP】スイスの研究者らが、高病原性鳥インフルエンザA(H5N1)に感染したヒトの抗体を使用して、マウスに免疫性を持たせることに成功した。29日、学術誌にその論文が発表された。

■従来の「ワクチン」から「抗体」へ

 実験を行ったのは、免疫調節などを研究するスイスの生物医学研究協会(Institute for Research in Biomedicine)。同研究所のアントニオ・ ランツァヴェッキア(Antonio Lanzavecchia)氏らは、ヒトの抗体を増殖させ、これをH5N1ウイルスに感染したマウスに注射した。すると、マウスは「非常に短期間で」免疫を持ち、生存率も格段に向上したという。

 同氏によると、抗体はこれまであまり注目されなかった。ワクチンと抗体には、それぞれ一長一短があり、ワクチンは、長期間または永続的な免疫反応が期待できるものの、その効果が出るには数週間から数か月かかる。さらに、鳥インフルエンザ感染歴のある人には効果がないという弱点がある。

 一方の抗体は、ただちに効果を発揮し、大量生産が可能ではあるが、効果は数か月しか持続しないという欠点もある。いずれにしても、抗体を使ったこの研究結果は「H5N1ウイルスに感染したヒトの治療にも生かせる」と期待を寄せる。

■ヒトからヒトへの感染が発生する前に

 世界保健機関(World Health OrganizationWHO)によると、H5N1型ウイルスが1990年代後半に初めて検出されて以来、ヒトへの感染が確認されたのはこれまでに306例。うち185人が死亡している。

 現在、H5N1型ウイルスが、ヒトからヒトへ容易に感染しうるタイプに突然変異する可能性が懸念されている。1918年には、インフルエンザ(通称「スペイン風邪」)が大流行して5000万人の死者が出ていることもあり、ワクチンの開発が急務となっている。

 今週末には、鳥インフルエンザに関する国際会議が開催される。(c)AFP