ゲーム中毒から子どもを救う - タイ
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![ゲーム中毒から子どもを救う - タイ](https://afpbb.ismcdn.jp/mwimgs/c/8/810wm/img_c8e60f8d28d8b8c7454883a9812e53f8272209.jpg)
【バンコク/タイ 15日 AFP】Suaravich Charoensuk君(14)は4年前ゲームが大好きで、ほかにはほとんど何もしなかった。このタイの少年は、学校から帰ると周りのことには見向きもせず、一晩に6時間はチカチカするスクリーンの前に座っていた。
「この子はとても感情的で、敵意むき出しの、攻撃的な子になりました」とSuaravich君の母親Chintanaさんは語った。「邪魔をしようとした妹をたたいたこともありました」
Chintanaさんは映像化された世界から息子を引き離すために、あらゆることを試した。外に出てスポーツをすることを勧めたり、面白い本を家中に置いたり、毎日のゲーム時間を決めたりした。
しかしSuaravich君はゲームから離れることができなかった。このことは学校の成績にも影響し、彼の年齢では小学4年生であるはずが、2年生へ落第し、ついには1年生にまで落ちてしまった。
■24パーセントの若者がゲーム中毒、心身に悪影響
教育担当官は、タイでのインターネットの使用が爆発的に広まるにつれ、Suaravich君のようなケースはだんだん一般的になってきていると言う。
「オンラインゲーム中毒は、不登校・ギャンブル・セックスと並んで学校成績低下の主要原因9つの中に入っています」と、教育省更生事務局(Office to Improve Student Behaviour)のYindee Panweawngamさんは言う。
「オンラインゲームは学問的に見ても生徒に害を与える可能性がある。ストレスが増加し、攻撃的な行動を促し、お金を消費させ、視力を低下させる」
2年前のバンコクの若者へのアンケート調査では、24パーセントの約1900人がオンラインゲーム中毒の友達がいると答えている。また2005年の12歳から25歳対象の調査では、タイの低収入労働者の一週間分の賃金に相当する、平均1114バーツ(約4027円)を毎月テレビゲームに当てていることが分かった。
若者たちも、オンラインゲームによる目の疲労・落第・金銭問題・運動不足による体力低下などの問題を訴えている。
医師の間では、麻薬やアルコール中毒になるのと同様、本当に子どもがオンラインゲーム中毒になるのかどうか、いまだに議論がある。多くの十代にとって、ゲームに執着するのは思春期の通過儀礼に過ぎない、と指摘する専門家もいる。しかしChintanaさんのようにゲーム中毒を懸念し、解決策を探す親も出てきているのも事実だ。
■政府施設で治療、8~9割は劇的に回復
Suaravich君が12歳だった2年前、Chintanaさんは新しい、政府設立のゲーム中毒防止センター(Centre for Game Addiction Prevention)のチラシを見つけた。Suaravich君は青少年グループ・セラピーの2時間のセッションに毎週出席するようになり、攻撃的な行動もすぐに柔軟になった。画面の前にいる時間もすぐに減り、学校の勉強も軌道に乗ったという。
このセンターは2年前に開かれて以来1000人の親と300人の子どもが治療を受けている。治療プログラムを行うBundit Sornpaisarn医師は、参加したうちの80%から90%の親子に飛躍的な回復が見られた。
センターでは一般的な中毒治療プログラムから、グループセラピーや、自尊心を育てるための作業などの方法を取り入れている。また、親が子どものためにどんな犠牲払っているかを示すため、出産シーンのビデオを見せたり、視聴覚教材でのアプローチも図った。他の中毒のように、ゲームのやりすぎは、10代の子どもの外の世界と交流する能力を妨げてしまうと医師は語った。
「1日に16時間、または24時間ゲームをする子もいる。ソフトウェアやゲームを買うためお金を盗む子もいれば、不登校になる子もたくさんいる。麻薬中毒とよく似ている」
今、14歳となったSuaravich君は多くの回復を見せている。最初の10週間コース治療の後、母親と妹と一緒にファミリーキャンプへ行き、続いて青少年キャンプにも参加した。「今は2年生に上がり、ゲームの時間は1日1、2時間になった」とChintanaさんは言う。
「息子はだいぶ良くなりました。もう敵意は見せないし、ゲーム以外にも興味を持っている。音楽を聴き、テニスをし、ペットのハムスターの世話をしています」
写真は4月29日、バンコク市内のゲームショップでゲームをする少年。(c)AFP/PORNCHAI KITTIWONGSAKUL
「この子はとても感情的で、敵意むき出しの、攻撃的な子になりました」とSuaravich君の母親Chintanaさんは語った。「邪魔をしようとした妹をたたいたこともありました」
Chintanaさんは映像化された世界から息子を引き離すために、あらゆることを試した。外に出てスポーツをすることを勧めたり、面白い本を家中に置いたり、毎日のゲーム時間を決めたりした。
しかしSuaravich君はゲームから離れることができなかった。このことは学校の成績にも影響し、彼の年齢では小学4年生であるはずが、2年生へ落第し、ついには1年生にまで落ちてしまった。
■24パーセントの若者がゲーム中毒、心身に悪影響
教育担当官は、タイでのインターネットの使用が爆発的に広まるにつれ、Suaravich君のようなケースはだんだん一般的になってきていると言う。
「オンラインゲーム中毒は、不登校・ギャンブル・セックスと並んで学校成績低下の主要原因9つの中に入っています」と、教育省更生事務局(Office to Improve Student Behaviour)のYindee Panweawngamさんは言う。
「オンラインゲームは学問的に見ても生徒に害を与える可能性がある。ストレスが増加し、攻撃的な行動を促し、お金を消費させ、視力を低下させる」
2年前のバンコクの若者へのアンケート調査では、24パーセントの約1900人がオンラインゲーム中毒の友達がいると答えている。また2005年の12歳から25歳対象の調査では、タイの低収入労働者の一週間分の賃金に相当する、平均1114バーツ(約4027円)を毎月テレビゲームに当てていることが分かった。
若者たちも、オンラインゲームによる目の疲労・落第・金銭問題・運動不足による体力低下などの問題を訴えている。
医師の間では、麻薬やアルコール中毒になるのと同様、本当に子どもがオンラインゲーム中毒になるのかどうか、いまだに議論がある。多くの十代にとって、ゲームに執着するのは思春期の通過儀礼に過ぎない、と指摘する専門家もいる。しかしChintanaさんのようにゲーム中毒を懸念し、解決策を探す親も出てきているのも事実だ。
■政府施設で治療、8~9割は劇的に回復
Suaravich君が12歳だった2年前、Chintanaさんは新しい、政府設立のゲーム中毒防止センター(Centre for Game Addiction Prevention)のチラシを見つけた。Suaravich君は青少年グループ・セラピーの2時間のセッションに毎週出席するようになり、攻撃的な行動もすぐに柔軟になった。画面の前にいる時間もすぐに減り、学校の勉強も軌道に乗ったという。
このセンターは2年前に開かれて以来1000人の親と300人の子どもが治療を受けている。治療プログラムを行うBundit Sornpaisarn医師は、参加したうちの80%から90%の親子に飛躍的な回復が見られた。
センターでは一般的な中毒治療プログラムから、グループセラピーや、自尊心を育てるための作業などの方法を取り入れている。また、親が子どものためにどんな犠牲払っているかを示すため、出産シーンのビデオを見せたり、視聴覚教材でのアプローチも図った。他の中毒のように、ゲームのやりすぎは、10代の子どもの外の世界と交流する能力を妨げてしまうと医師は語った。
「1日に16時間、または24時間ゲームをする子もいる。ソフトウェアやゲームを買うためお金を盗む子もいれば、不登校になる子もたくさんいる。麻薬中毒とよく似ている」
今、14歳となったSuaravich君は多くの回復を見せている。最初の10週間コース治療の後、母親と妹と一緒にファミリーキャンプへ行き、続いて青少年キャンプにも参加した。「今は2年生に上がり、ゲームの時間は1日1、2時間になった」とChintanaさんは言う。
「息子はだいぶ良くなりました。もう敵意は見せないし、ゲーム以外にも興味を持っている。音楽を聴き、テニスをし、ペットのハムスターの世話をしています」
写真は4月29日、バンコク市内のゲームショップでゲームをする少年。(c)AFP/PORNCHAI KITTIWONGSAKUL