【ワシントンD.C./米国 10日 AFP】 米国では、医療保険に加入していない患者は、加入している人に比べ約2倍の医療費を請求されているという。そんな研究論文が、米保険政策の専門誌「Health Affairs」の2007年5-6月号に掲載される。

 調査をしたのは、ジョンズ・ホプキンス大学(Johns Hopkins University)病院財務経営センター(Center for Hospital Finance and management)のジェラルド・アンダーソン(Gerard Anderson)氏。論文によれば、米国で、自己負担で病院にかかった患者が請求される金額は、同じ治療を保険加入者が受けた場合に保険会社に請求される金額の2.5倍に上った。

 アンダーソン氏は、「医療費を支払う余裕が最も少ない人々の医療費がこれだけ割高であるということを正当化することはできない」とコメントしている。

 また、主に高齢者を対象とする米政府管掌の医療保険制度「メディケア(Medicare)」の加入者と比べると、同じ医療行為で未加入者は3倍になる。

 特に利益追求型の病院の場合は、メディケアが100ドル(約1万2000円)と定めている医療内容について、医療保険未加入者に410ドル(約4万9000円)を請求していたケースもあった。

 もっとも、病院が請求した金額のうち実際に回収できたのは40%に留まるという。また、医療費を過大に請求されたとして医療保険未加入者が病院を訴える集団訴訟も60件以上起こされている。

 アンダーソン氏は、この問題を解決するには米政府が医療保険に入れない人に保険を提供するか、病院に無保険者にも加入者と同じ金額を請求させる必要があると話す。

 「病院は正しいこと、つまり医療保険未加入者への請求金額の切り下げを実施すべきだ」とアンダーソン氏は語った。

 写真は米国ニューオーリンズ(New Orleans)にある病院のナースステーションで打ち合わせをする医師と看護師(2006年8月10日撮影)。(c)AFP/Robyn BECK