【北京 2日 AFP】国営新華社(Xinhua)通信は2日、あるゆる形態の臓器売買を禁じる「人体臓器移植条例」が施行され、中央政府にあたる国務院(State Council)が正式に臓器売買を禁止したと報じた。国内で実施される臓器移植をめぐっては、国際人権団体から非難の声が上がっていた。

■違反者には厳罰

 同通信の報道によれば、「いかなる組織または個人も、いかなる方法によっても臓器を売買してはならない」と定める同条例への違反が発覚した場合、関与した医師は医師免許を取り消され、医療施設は最低3年間、臓器移植手術の実施を禁止される。また、違反者には臓器売買で得た金額の8倍から10倍の罰金が科され、政府関係者の関与が発覚した場合には免職処分が課される。

■政府は臓器移植手術をめぐる疑惑を否定

 国際人権団体は、中国政府が刑を執行された死刑囚から受刑者本人や家族の同意を得ることなく移植用の臓器を摘出しているとして、長期にわたり非難を繰り返してきた。また、交通事故などによって死亡した患者から遺族の同意を得ずに臓器を摘出している例が見られるとして、国内の病院も度重なる非難を受けてきた。

 だが、政府当局は「大半の臓器は自主的に一般市民から提供されたか、生前、臓器提供に同意していた死刑囚のもの」と述べ、疑惑を否定している。

■世界第2位の臓器移植大国、中国

 新華社通信の報道によれば、臓器不足によって自国で移植手術を受けることができない外国人患者が、臓器が豊富で手術費用も安い中国へやってくる例も多いという。

 国内では毎年約5000件の臓器移植手術が実施され、中国は米国に次ぐ世界第2位の臓器移植大国となっている。だが、同通信によれば正常臓器の需要と供給の間には隔たりがあるといい、移植を必要とする患者数が年間150万人であるのに対し、適合する臓器を見つけられる患者はわずか1万人だという。年間の移植手術実施件数との差異については説明されていない。

 人体の細胞や角膜、骨髄などの組織移植は「人体臓器移植条例」の適用対象外とされている。

 写真は、安徽(Anhui)省合肥(Hefei)にある病院の廊下に置かれたベッド脇で治療する看護士(左、2007年3月17日撮影)。(c)AFP