【ワシントンD.C./米国 10日 AFP】米国政府が行った発育障害の調査によると、自閉症はこれまで考えられていたよりも頻繁に見られ、150人に1人が自閉症の症状を持つことが分かった。

 疾病対策センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は、全米20州の8歳の子どもの調査を広く行い、8日この報告書を発表した。

 これまでの研究で、異常な社会的相互作用、言語的・非言語的コミュニケーション障害、特異で、継続的あるいは極端に限定された行動と興味などを特徴とする自閉症スペクトラム障害を持つ子供の多くは8歳までに特定されることが分かっていることを受け、今回の調査ではこの年齢の子供を調査した。

 CDCの調査結果によると、自閉症スペクトラム障害を持つ子どもは150人に1人の割合で存在する。2000年の資料をもとにした調査では1000人中6.7人、2002年の資料の調査では1000人中6.6人の子どもが自閉症だった。

 これまで数十年間にわたり、自閉症の症例は1000人中4人か5人程度と考えられていた。

 最近の調査でも自閉症の子どもは166人から175人に1人とされていた。

「我々が算出する推定値は、以前に比べ矛盾は排除され精度を増している。数値の上昇が、自閉症スペクトラム障害の増加なのか、算出精度が向上したことによるものなのかのはまだ判断できない」とCDCのJulie Gerberding博士は声明で述べている。

 CDCは、米国内で21歳以上の56万人がさまざまな自閉症の症状を持つと見ている。

「自閉症スペクトラム障害の原因は不明だが、自閉症など発育障害を幼年時に発見できれば、適当な対策が早い段階で確実に取ることができる」とCDCで自閉症問題に取り組むMarshalyn Yeargin-Allsopp博士は述べている。

 写真は、2006年4月3日、野球の試合を観戦する少年。(c)AFP/Getty Images