【8月22日 AFP】(一部更新)スウェーデンの博物館から14年前に盗まれた16世紀の天体観測機器アストロラーベが、このほど返却され、展示が再開された。博物館の学芸員が21日、明らかにした。盗難に遭ったにもかかわらず状態は良好という。

 スウェーデン・ストックホルム近郊のスコークロステル城(Skokloster Castle)博物館から1999年に盗まれたアストロラーベは、1590年にドイツでつくられた品で、銅と銀でできており、天体の位置と時刻の測定に使われていた。時価総額は40万ドル(約4000万円)相当という。

 所在が分かったのは数か月前で、所有していたイタリア人の収集家が売却を考え、顧問弁護士を介して盗難美術品のデータベース「アート・ロス・レジスター(Art Loss RegisterALR)」を調べたのがきっかけだった。

 ALRで盗難品回収に当たるクリストファー・マリネッロ(Christopher Marinello)弁護士によると、問題のアストロラーベが国際手配された盗難品と確認されたため、イタリア人収集家側と返還交渉を行った。返却に際して金銭のやりとりはなかったという。アストロラーベがどのような経緯でこの収集家の手に渡ったかは公表されていない。

 マリネッロ氏は今年1月、25年前に盗まれた仏画家アンリ・マチス(Henri Matisse)の作品がストックホルム現代美術館(Stockholm's Museum of Modern Art)に返還された一件にも携わっている。(c)AFP