【4月4日 AFP】仏パリ(Paris)で今月開催されるオークションで、アメリカ先住民ホピ(Hopi)族の、精霊を具現化した「カチナ」というマスクのような品が競売に掛けられる予定になっていることについて、これを阻止しようとするホピ族の文化保護当局の動きに米アリゾナ(Arizona)州の2つの博物館が賛同している。

 フランスの競売会社Neret-Minet Tessier and Sarrouは4月12日に開催するオークションで、ホピ族が儀式で使用するカチナ70点を競売に掛けることにしている。同社のウェブサイトに写真が掲載されたこれらの品々の中には、5万ユーロ(約600万円)もの高値で落札されると予想されているものもある。

 ハード博物館(Heard Museum)と北アリゾナ博物館(Museum of Northern Arizona)はソーシャルメディア上で、予定されているオークションはホピ族のコミュニティーで激しい怒りを呼んでいると述べた。

 北アリゾナ博物館のロバート・ブルーニグ(Robert Breunig)館長は同競売会社宛ての公開書簡をフェイスブック(Facebook)に掲載し、カチナをアリゾナ州に戻すよう求めた。

 ブルーニグ氏は、「ホピ族が信仰する精霊カチナの競売が予定されていること、これらが国際的な場にさらされていることは、ホピ族に怒りや悲しみ、ストレスをもたらしている」と指摘し、「ホピ族にとってカチナは生きた存在。カチナを競売会社のカタログやウェブサイトに掲載するのは精霊を冒瀆(ぼうとく)するもので、侮辱的なこと」と述べた。

 ホピ族の文化保護当局は先月、この競売会社に対し、競売を中止するとともに、敬意を持ってカチナのホピ族への返還について協議に応じるよう要求した。(c)AFP