【3月11日 AFP】英国の考古学チームは9日、英古代遺跡ストーンヘンジ(Stonehenge)の起源について、古代のストーンサークルが最初は墓地として、のちに大規模な祝典の会場として使われていたとする新しい学説を発表した。

 英南西部ウィルトシャー(Wiltshire)州ソールズベリー平原(Salisbury Plain)にあるストーンヘンジが、石器時代の暦や天文台として造られたとする長年の通説は、この研究によって覆されるかもしれない。

 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)のマイク・パーカー・ピアソン(Mike Parker Pearson)教授率いる研究チームによると、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録されているストーンヘンジは、従来考えられていたよりも起源が古く、その使用目的も従来説とはまったく異なるものであったという。

「われわれの研究結果は多くの点で、ストーンヘンジの従来の通説を書き換えることになる」とピアソン教授は話す。

 ピアソン教授の研究チームは10年にわたり、実地の発掘と実験室での解析作業を行い、古代の人骨63組を分析・調査した。

 研究チームによると、ストーンヘンジの原型は、有力一族の墓地として、紀元前3000年頃に建造されたと見られるという。これは、現在広く知られている遺跡が造られた時代よりも500年前に相当する。

 ピアソン教授によると、ストーンヘンジのブルーストーンがある場所からは、火葬された多数の遺体の人骨が見つかったという。

 また、遺跡から出土した獣骨8万点のなかの牛の歯を詳しく分析した結果、ストーンヘンジは紀元前2500年頃には、全国から多数の人々が一堂に会する大規模な祝典の会場として使用されていた可能性があるという。

 この祝典には、最大で当時の英国人口の10分の1に相当する数の人々が参加したと見られ、ピアソン教授いわく「野外ロックフェス『グラストンベリー・フェスティバル(Glastonbury Festival)』と高速道路建設事業が同時に行われる」ようなものだったという。

 ピアソン教授によると、古代の人々は、夏至と冬至を祝うためにこの地に集い、同時にモニュメントの建設にも携わっていたとみられるという。

「ストーンヘンジは、古代英国の人々が集結するモニュメントだった」とピアソン教授は指摘。分析結果から、人々はストーンヘンジの祝宴に供するための家畜を連れ、英国全土から、遠くははるかスコットランドから、この地にやってきたことが明らかになったという。(c)AFP