【1月8日 AFP】スウェーデンの美術館から25年前に盗まれたままとなっていたアンリ・マチス(Henri Matisse)の絵画がこのほど、英国で見つかった。

 見つかったのは20世紀現代美術を代表する仏画家マチスの1920年の油彩画「Le Jardin(庭園)」。1987年5月11日早朝、ハンマーで窓ガラスを割ってストックホルム(Stockholm)の現代美術館に侵入した何者かに持ち去られ、今まで行方が分からないままだった。

 絵は1990年代から高齢のポーランド人男性が保有していたという。この男性が孫のために資金を工面するため、英国の美術商チャールズ・ロバーツ(Charles Roberts)氏に絵を売りたいと依頼。これを受けてロバーツ氏が、美術品を売る際の慣習として、盗まれた美術品のデータベースに照会したところ、マチスの真作であることが判明した。

 現在の評価額は100万ドル(約8700万円)ほどだという。

 ロバーツ氏はAFPの取材に、絵画が盗品だと分かったときには、かなり衝撃を受けたと語った。

 ロバーツ氏によれば、絵の売却を依頼したポーランド人男性にやましいところは全くなく、マチスの盗品だったので売ることはできないと伝えると仰天して「本当に本物なのか?」と尋ねたという。

 絵が盗まれた当時の現代美術館の館長は報道陣に対し、この絵がこれだけ長期間不明だったのは、絵画があまりに有名だったため犯人が売りに出すことができなかったためだろうと語った。

「Le Jardin」は近く現代美術館に返還される予定だ。ポーランド人男性の手に渡る以前に、誰がこの絵画を所有していたのかは分かっていない。(c)AFP