【11月1日 AFP】ブルガリア東部・黒海沿岸の都市バルナ(Varna)近郊で、欧州最古とみられる先史時代の「町」の跡と、塩の生産設備が発掘された。当時、塩は希少品だったことから、考古学者らはバルナにある古代墓地で大量の金の装飾品が見つかる理由がこれで解明できると期待している。

   「町」が発掘されたのは、バルナ郊外の町プロバディヤ(Provadia)近郊にあるプロバディヤ・サルニツァタ(Solnitsata)遺跡。2005年から続けられてきた発掘調査で、2階建て住宅や墓地、儀式に使われたとみられる多数の穴、門の一部、要塞らしき建造物や防壁が発見された。

 炭素年代測定で、全て紀元前4700~4200年の「金石併用時代」中期~後期のものであることが分かったという。

 ブルガリア国立考古学研究所(National Institute of Archeology)の考古学チームは、墓地に埋葬されていた人骨の姿勢や出土した埋葬品がいずれも、ブルガリアで過去に見つかった新石器時代のものとは大きく異なっている点を指摘。また、「町」を取り囲む石造りの巨大な防壁も、これまで南東欧で見つかった先史時代の遺跡には見られなかったものだとして、「大変興味深い発見だ」と説明している。

 人口350人ほどだったとみられるこの集落は防壁でしっかりと守られ、宗教の中心地だったと考えられる。さらに最も重要な点として、広く交易に使われていた塩を特産品としていた。以上から研究チームは、欧州で知られている中で最古の「先史時代の町」と呼ぶのにふさわしい全ての条件を備えていると結論付けた。

 バルナには紀元前4300年ごろにさかのぼるネクロポリス(古代文明の集団墓地)があり、世界最古とされる黄金の装飾品が多数発掘されている。しかし、農業や牧畜が中心で資源も少ないこの地域に、なぜこれほどの富が集中したのかは謎だった。

 研究チームでは、塩の交易こそが富をもたらしたのではないかと考えている。(c)AFP/Diana SIMEONOVA