【10月1日 AFP】オランダ・アムステルダム(Amsterdam)にこのほど、真っ白な「巨大な浴槽」が登場した。この建物、約10年がかりの改装工事を終えて前週再オープンしたアムステルダム市立美術館(Stedelijk Museum)の新館だ。「浴槽」は、帝人グループの現地法人テイジンアラミド(Teijin Aramid)が提供した防弾素材でできている。

 1874年開館のアムステルダム市立美術館は、バウハウス(Bauhaus)やアンディ・ウォーホル(Andy Warhol)など現代美術・デザイン作品9万点を所蔵する、世界有数の美術館。現在、世界中の美術館でおなじみの展示室の白壁は、同美術館が70年以上も前に採用し、流行させたものだ。

 新館について、設計した建築家のメルス・クローウェル(Mels Crouwel)氏は「つやつや、華やか、真っ白」と描写する。

 全長およそ100メートルの「浴槽」の表面は、3000平方メートルの継ぎ目のないパネルで覆われている。素材は、テイジンアラミドのEdwin Dommershuijzen氏が「鉄より5倍強い」と自信を見せるパラ系アラミド繊維と炭素繊維の複合素材(コンポジット)。防弾チョッキやヘルメットと同じ技術でコーティング(表面処理)しており、コンポジット建造物としては世界最大規模になる。1895年建造の重厚なネオ・ルネッサンス様式の本館と対象をなす「軽さ」を表現している。

 21世紀になって世界各地に現代美術館が相次いで開館すると、アムステルダム市立美術館を取り巻く状況も隆盛を誇った20世紀とは様変わりした。これからは歴史の長さと先進的な「浴槽」の話題性を切り札に、グッゲンハイム美術館(Guggenheim)や年間400万人が来場する英ロンドン(London)のテート・モダン(Tate Modern)など人気美術館と渡り合っていくことになる。(c)AFP/Charles Onians