硫黄島で無線機見つかる、栗林中将による最後の電報打った可能性
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【8月21日 AFP】太平洋戦争末期に日米両軍が激戦を繰り広げた硫黄島で、米軍による島占領を前に旧日本軍が大本営に宛てた最後の電報を打ったとみられる無線機が地下壕から発見された。
20日付の東京新聞(Tokyo Shimbun)の報道によれば、無線機は総指揮官の栗林忠道(Tadamichi Kuribayashi)中将が使用したものである可能性が高いという。栗林中将はクリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督の米映画『硫黄島からの手紙(Letters From Iwo Jima)』(2006年)で渡辺謙(Ken Watanabe)さんが演じた人物で、映画では高圧的な将校らとは対照的に思いやりと良識のある指揮官として描かれている。
東京新聞によれば、無線機が発見された硫黄島北部の地下壕は、旧日本軍が発信所として使用していたとみられる。硫黄島での遺骨収容事業を行う厚生労働省の関係者によれば、同じ地下壕からは幅2メートルの無線機の近くで旧日本兵の遺骨1柱も見つかっている。
硫黄島の戦いの生存者証言を分析した結果、この無線機が栗林中将が最後の電報を打つために使用したものである可能性が非常に高いことが分かった。栗林中将が残した「矢弾尽き果て散るぞ悲しき」という電文は、自己犠牲の武士道精神を表した詩的な表現として日本で広く知られている。
1945年2月から約1か月におよんだ硫黄島の戦いは、旧日本兵約2万2000人、米兵約7000人が死亡したとされ、太平洋戦争において、その後の戦況を決定付けた戦闘と位置づけられている。(c)AFP