【10月26日 AFP】パリ(Paris)郊外のベルサイユ宮殿(Chateau of Versailles)で9月14日から開かれている日本の現代美術家、村上隆(Takashi Murakami)氏(48)の作品展について、同宮殿を建設したフランス王ルイ14世(Louis XIV)の子孫らがベルサイユの行政裁判所に同作品展の中止を求める訴えを起こした。

 訴えを起こしたのは、シクストアンリ・ド・ブルボン=パルマ(Sixte-Henri de Bourbon-Parme)公。「宮殿と先祖たちへの敬意」を守るためだという。一方、7人の訪問客らも「歴史遺産にアクセスする権利」を守るために訴えを起こした。

「ベルサイユ宮防衛連携(Versailles Defence Coordination)」のArnaud Upinsky代表は、訴えについて、「村上氏の作品展に対しての議論や反対を法的に翻訳したということ」と説明する。

 シクストアンリ公は、「ベルサイユで展覧会を開くことで、アーティストたちは付加価値を得ている。われわれはアートの現代性に反対しているわけではない。フランスの文化を変性させ、フランス文化にまったく良い効果を及ぼさない考え方に反対している」と述べた。

 2008年には、シクストアンリ公のおいにあたるシャルルエマニュエル・ド・ブルボン=パルマ(Charles-Emmanuel de Bourbon-Parme)公が、米アーティストのジェフ・クーンズ(Jeff Koons)氏のベルサイユ宮殿での作品展を、一族の過去を冒とくするものだとして中止を求めて訴えを起こした。この際は、裁判所は訴えを退けていた。

「不快さを司法のもとで争うことはいつも困難だ。われわれは、2年前と同様に、基本的自由の深刻な侵害があるため(作品展を)一時的に中止するよう、ベルサイユの行政裁判所に求める」(シクストアンリ公)(c)AFP

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