【7月11日 AFP】ネルソン・マンデラ(Nelson Mandela)元南アフリカ大統領(91)の遺体が解剖される場面を描いた絵画が同国で物議を醸している。この絵を描いた画家は象徴的指導者への敬意を示したものだと説明している。

 地元出身のユイル・ダマソ(Yuill Damaso)氏が描いた問題の絵画は、レンブラント(Rembrandt)の「テュルプ博士の解剖学講義(The Anatomy Lesson of Dr Nicolaes Tulp)」に範を取ったもので、解剖台に乗せられたマンデラ氏の遺体が、2001年12歳で亡くなった同国の小児エイズ活動家、故コシ・ジョンソン(Nkosi Johnson)さんによって解剖される様子を同国の著名政治家たちが見守るというもの。

 ヨハネスブルク(Johannesburg)の高級ショッピングセンターに展示されたことで、与党アフリカ民族会議(African National CongressANC)の怒りを買っている。

 一方、ダマソ氏は現地紙サンデー・スター(Saturday Star)に対し、作品は反アパルトヘイト活動の英雄であるマンデラ氏を侮辱するものではないと説明している。

「マンデラ氏の肉や骨を描くことで、彼も皆と同じ人間だということを表現した」「彼はたゆまぬ努力によって偉業を成し遂げ、この国のみならず世界中に多大な影響を与えたが、この作品は彼が普通の人間に他ならないことを示している」(ダマソ氏)

 18日に92歳になるマンデラ氏は、健康状態が徐々に悪化していることから、ここ数か月はあまり公の場に姿を現れていない。11日の2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)決勝戦に姿を見せることが期待されているが、マンデラ氏の財団や家族は試合当日に判断するとしている。(c)AFP