【6月1日 AFP】オーストラリアで発見された先住民アボリジニの壁画に4万年前に絶滅したと考えられている鳥が描かれていたことが分かり、南半球では最古の壁画ではないかとの期待が高まっている。

 この壁画は、アボリジニが岩肌に描いたロックアートと呼ばれる壁画が数多く残る同国北部のアーネムランド(Arnhem Land)で2年前に見つかったもの。洞窟の壁面に赤褐色の黄土(オーカー)でダチョウの仲間のエミューに似た大きな鳥2羽が描かれている。

 考古学者ベン・グン(Ben Gunn)氏によると、5月半ばに壁画を古生物学者に見せたところ、描かれている鳥はエミューよりも爪先が大きく脚が短いことなどから、絶滅したゲニオルニス(genyornis)である可能性が高いことが分かったという。

 ゲニオルニスは4万年前に絶滅したと考えられていることから、壁画の鳥がゲニオルニスであれば、壁画は4万年以上前に描かれたものか、ゲニオルニスの絶滅時期が考えられているより後だったということになる。もっとも、グン氏は描かれている鳥が未知の巨鳥である可能性もあると指摘した。

 考古学が専門の豪モナッシュ大学(Monash University)のブルーノ・デービッド(Bruno David)氏によると、このほかにもオーストラリア全土には、数十万のアボリジニのロックアートが未発見のまま眠っている可能性があるが、ロックアートの年代の特定は難しいという。

 デービッド氏は来年にもアーネムランドで長期間にわたる調査を行い、この壁画が描かれた年代を調べる計画だ。現場はヘリコプターがないとたどり着けない人里から遠く離れた場所のため、観光客などによって荒らされる心配はないという。(c)AFP