論争呼んだダビンチの「精巧な模写」が競売へ、それでも予想価格2700万円超
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【1月23日 AFP】レオナルド・ダビンチ(Leonardo da Vinci)の真作か否かをめぐり美術界で長年にわたり国際的な論争が繰り広げられ、その後贋作と結論付けられた肖像画が、28日にニューヨーク(New York)で競売大手サザビーズ(Sotheby's)主催のオークションに掛けられる。
「婦人の肖像(La Belle Ferronniere)」と題されたこの油彩画を描いた人物は現在でも不明で、サザビーズの競売カタログには「作者はレオナルド・ダビンチの模倣者」と記載される予定だという。
同作の落札予想価格は30万~50万ドル(約2700万~4500万円)で、本物のダビンチ作と比較すればかなりの「お買い得」となる。
「白熱した論争があったが、これはダビンチの作品でないことは確かだ」と、サザビーズの巨匠コレクション(Old Master Paintings)部門担当、ジョージ・ウオッチャー(George Wachter)氏は明言している。「もしも本物のダビンチ作なら、2億5000万ドル(約225億円)以上の価値があるだろう」。もっとも、この作品を贋作だとされるまでには曲折があった。
この肖像画は1929年、米国人とフランス人の夫妻がアメリカ中西部カンザス(Kansas)州にある美術館に売却するよう手配した。フランスの専門家がダビンチの真作と判断したため、およそ25万ドルの価格がついた。その後まもなく、当時著名な美術専門家だったジョゼフ・デュヴィーン(Joseph Duveen)が贋作と判断、「極めて巧みな模写にすぎない」と述べたため、訴訟に問題に発展した。結局、裁判で陪審員団は評決に達しなかったが、デュヴィーン氏は賠償金の支払いを請求された。
1993年になってあるダビンチの専門家による調査の結果、同作が描かれたのはダビンチの死後100年以上も経った17世紀半ばに制作されたものと判明し、長年の論争に終止符が打たれたという。(c)AFP