【12月21日 AFP】エジプト考古最高評議会(Egyptian Supreme Council of Antiquities)のザヒ・ハワス(Zahi Hawass)事務局長は20日、3400年前の古代エジプト王妃ネフェルティティ(Nefertiti)の胸像について、現在収蔵しているドイツに対して正式に返還を要求する方針を明らかにした。

 胸像は、1912年にドイツ人考古学者ルートウィヒ・ボルヒャルト(Ludwig Borchardt)が発見し、現在は独ベルリン(Berlin)の新博物館(Neues Museum)が収蔵する。

 ハワス事務局長は、新博物館でエジプト博物館・パピルスコレクションを管理するフリーデリケ・ザイフリート(Friederike Seyfried)氏とカイロ(Cairo)で会談。その後で出した声明で、ザイフリート氏が1913年にドイツとエジプトの間で締結された、考古学的発見を両国で分割する合意文書を提示したことを明らかにした。

 ハワス氏はその上で、ボルヒャルトは胸像が石灰岩でできたネフェルティティ王妃の像であることを知りつつ、石こうの王女の像だと偽って持ち出したと指摘。また、胸像は粘土でコーティングされ、こっそりドイツに持ち出されたと主張している。

 エジプトは1930年以降、たびたびネフェルティティ像の返還をドイツに要請しているが、独政府は合法的に入手したものだとして一貫して拒否。また、胸像はもろく、移動するのは危険だとの理由で、エジプトへの貸し出しについても積極的ではない。(c)AFP