【12月15日 AFP】(写真追加)ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は14日、ルーブル美術館(Louvre)に収蔵されている古代エジプトのステラ(石碑)をエジプトのホスニ・ムバラク(Hosni Mubarak)大統領に返還した。

 返還されたステラは、エジプト・ルクソール(Luxor)の「王家の谷(Valley of the Kings)」にある、約3000年前のエジプト第18王朝の貴族「Tetiky」の墓の壁画からはぎ取られ、持ち去られていた計5枚のうちの1枚。残る4枚もムバラク大統領の滞在中、エジプト大使館に返還されるという。

 ルーブル美術館は、2000年と2003年にこれら5枚を購入。エジプトは今年10月、同館に対しステラの返還を求めるとともに同館との協力関係を停止した。フランス政府はその後、返還することで合意した。

 パリ(Paris)のエリゼ宮(Elysee Palace)で行われた返還式で、サルコジ大統領は「フランスは文化財の違法な密売と熱心に闘っていく」と語った。

 ユネスコ(UNESCO)の1972年の「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」は、文化財はそれをもともと有していた国の財産であり、国外に持ち出された文化財は返還されなければならないとしている。

 エジプトは、大英博物館(British Museum)所蔵のロゼッタ・ストーン(Rosetta Stone)やベルリン(Berlin)の新博物館(Neues Museum)所蔵のネフェルティティ王妃(Queen Nefertiti)の胸像を含む多くの文化財について、返還に向けた努力を加速させている。

 エジプト考古最高評議会(Egyptian Supreme Council of Antiquities)のザヒ・ハワス(Zahi Hawass)事務局長は、今回返還されたステラについて、「ルーブルは盗品と知りながら購入していた」と非難している。(c)AFP