【9月2日 AFP】フランス人画家ニコラ・プッサン(Nicolas Poussin)がギリシャ神話の豊饒と多産の神プリアポス(Priapus)を描いた作品で、当初描かれていたが上から塗りつぶされた部分が8か月にわたる修復作業で判明した。その塗りつぶされていた部分とは、勃起(ぼっき)した男根だった。

 修復に当たったブラジルのレジナ・ピント・モレイラ(Regina Pinto Moreira)さんは、1日付けのフォリャ・ジ・サンパウロ(Folha de Sao Paulo)紙で、「プリアポスの男根が隠されていた。節度を保つために塗りつぶしたと思われるが、このようなことは珍しいことではない」と語った。

 モレイラさんはまた、18世紀のカトリック教国スペインの王室がこの作品を一時期所有していたことがあるため、その頃に修正が行われたのではないかとみている。

 30年間、パリ(Paris)のルーブル(Louvre)美術館で絵画修復を行ってきたモレイラさんは、フランス人専門家2人とともに8か月間にわたって修復作業を行った。

 1634-38年に描かれたこの作品「Hymenaios Disguised as a Woman During an Offering to Priapus」は、横3.71メートル、縦1.66メートルの巨大な絵画で、女性の服をまとった結婚の神ヒュメーン(Hymen)がプリアポスと踊る場面が描かれている。ちなみにプリアポスは、伝統的に勃起した男根とともに描かれる。

 3世紀以上にわたって何層にも積み重なった汚れやほこり、絵の具の小片を取り除くのに15万ユーロ(約2000万円)を費やした。作品は9月8日からサンパウロ美術館(Museum of Art of Sao PauloMASP)で展示される。

 ナポレオン戦争の後、この絵画はスペインから英国貴族の手に渡り、その後フランス人美術商ジョルジュ・ウィルデンシュタイン(Georges Wildenstein)に売り渡された。さらにウィルデンシュタインが1953年、ブラジルのジャーナリストでサンパウロ美術館の創設者でもあるアシス・シャトーブリアン(Assis Chateaubriand)に売却した。(c)AFP

【参考】サンパウロ美術館のサイト(ポルトガル語)