【7月2日 AFP】パリ(Paris)で1日、米国のビート・ジェネレーション(ビートニク)文学の巨匠、ウィリアム・バロウズ(William S. Burroughs)のカルト小説『裸のランチ(The Naked Lunch)』発表から50年を記念したモニュメントの除幕式が行われ、国内外からファンが集まった。

 除幕式は、バロウズが同書を執筆した当時滞在していたパリ中心部のホテル「オテル・デュ・ヴィユー(Hotel du Vieux)」で行われた。関連行事として、「バロウジアン」たちによる会議や朗読会が3日まで開催される。

 このホテルは当時、「ビート・ホテル(Beat Hotel)」という名で知られた荒れ果てた簡易宿泊所で、ビート詩人のアレン・ギンズバーグ(Allen Ginsburg)など「ビートジェネレーション」の作家たちが拠点とした。

 ビート文学の愛好者らは、1959年にパリで発刊された『裸のランチ』を「最高傑作」と評している。

 バロウズ研究の第一人者、オリバー・ハリス(Oliver Harris)氏は、「50年後に読んでも、物語はちっとも古びておらず、心の中のスイッチが全部押されるような感じだ」と話す。

 バロウズは、この小説の中で、自身のヘロイン中毒や同性愛について、不気味なほど詳細に描写している。物語は麻薬中毒者が警察から逃れる場面で始まり、語りは終始軽妙で型破りだ。当時の人びとの多くは同書を「不愉快」と酷評したが、バロウズはそれすらも大いに楽しんでいた。

「確かに『心地よい』小説ではない。奇妙で、下品で、不快な話だ。この小説を生き生きさせているのは、断片的な興奮を寄せ集めたコラージュ的な手法だ」とハリス氏。また、語りの中には極めて深い反抗心も見え隠れするという。

 ハリス氏が主宰する「nakedlunch.org」は、10月にはニューヨーク(New York)でも同様のイベントを開催する。(c)AFP