【6月25日 AFP】(一部更新、写真追加)石器時代の人々は、肉を食べた後、残った骨で音楽をかなでていたらしい――。ドイツ南西部シェルクリンゲン(Schelklingen)にあるホーレ・フェルス(Hohle Fels)洞窟の遺跡から、約3万5000年前の後期旧石器時代にマンモスの牙や鳥の骨で作られた「フルート」を独テュービンゲン大(University of Tubingen)の研究チームが発掘し、25日付の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。これまで発見された楽器の中では世界最古という。

  出土したフルートは全部で3本分で、うち12個の破片で見つかった1本は、つなぎ合わせると全長22センチのほぼ完全な形になった。ハゲワシの翼の骨を石器で削ったもので、指で押さえる穴が5つある。また、口を当てる部分にはV字形の深い切れ込みが2か所ある。
 
 同じ場所からはマンモスの牙で作られたフルートの破片や、後世に製作されたと見られる楽器が発見され、ドナウ(Danube)川上流域に移住した当時の人々は豊かな音楽文化を堪能していたと考えられる。

 発掘場所からさほど離れていない場所では前月、同じく約3万5000年前と世界最古のビーナス像が発掘されており、芸術が幅広く花開いていたことを物語っている。

 発掘現場では、フルートの製作に使用されたフリント石器の破片、製作時の痕跡と見られるマンモスの牙や馬、トナカイ、クマの骨、そして壁画の材料と見られる焼いた骨、ミネラル、炭、動物の血液や脂肪なども見つかっている。

 調査を率いたテュービンゲン大のニコラス・コナード(Nicholas Conard)教授は、このフルートは現代のものに匹敵するほどの幅広い音色をかなでていた可能性が高いとしている。(c)AFP/Marlowe Hood

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