【6月12日 AFP】ギリシャ・パルテノン神殿の彫刻「パルテノン・マーブル(Parthenon Marbles)」をめぐって、所蔵するロンドンの大英博物館(British Museum)がギリシャへの「貸し出し」を申し出たことに対し、ギリシャのアントニオ・サマラス(Antonis Samaras)文化相は11日、申し出を辞退すると述べた。

 大英博物館の広報担当ハンナ・ブルトン(Hannah Boulton)氏は10日、ギリシャのラジオ局に、「パルテノン・マーブルをギリシャに3か月間貸し出すことは可能」と述べた。その上で、「ギリシャはパルテノン・マーブルの所有権が大英博物館にあることを認めなければならない」ともクギを刺した。

 これに対しサマラス文化相は声明で、申し出を受けることは文化財の「強奪」を法的に容認することになると述べ、申し出を拒否した。

 ギリシャは、トルコがオスマン帝国(Ottoman Empire)の支配下にあった1806年に英国大使のエルギン伯(Lord Elgin)によって国外に持ち出され、大英博物館に売却されたパルテノン・マーブルの返還を強く求めている。

 20日には、パルテノン・マーブルの残りの部分とアクロポリス(Acropolis)の彫刻を展示する新しい博物館がアテネ(Athens)に開館するが、サマラス文化相は5日、大英博物館がパルテノン・マーブルを返還するなら、展示されていた「空間」を埋めるために古代ギリシャのほかの遺物を貸し出す用意があると発言していた。

 ギリシャ政府は、5日間の新博物館の開館式典に、外国の首脳や博物館の役員を多数招いている。大英博物館にプレッシャーをかけて返還を促すのが狙いだ。(c)AFP