【5月15日 AFP】ベトナム戦争が終結した1975年の「サイゴン陥落」を写真に納めたオランダ人の報道写真家ヒュー・ファネス(Hugh Van Es)氏が15日、居住地の香港で死去した。67歳だった。仕事関係者によると、ファネス氏は、前週、脳出血で倒れ、意識を取り戻すことなく亡くなったという。

 1941年7月6日、オランダで生まれのファネス氏は、伝説の戦場写真家ロバート・キャパ(Robert Capa)の写真展を見て、報道写真家になることを決意。1967年に香港経由でベトナムに向かった。

 そこで1975年、サイゴン陥落時に米大使館の屋上から米軍のヘリコプターで脱出する米国人らの姿を撮影。この写真は、ベトナム戦争における米国の敗北を象徴する写真とり、ファネス氏の名を世界的に知らしめた。

 この写真については、後に、撮影場所は米大使館ではなく、米中央情報局(Central Intelligence AgencyCIA)の職員が居住していたアパートの屋上だったことが明らかになっている。

 ベトナム戦争終結後、ファネス氏は香港を拠点とし、ソ連のアフガニスタン侵攻、フィリピンのフェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)独裁政権を倒した市民革命など、数多くの歴史的瞬間をカメラに納めている。(c)AFP