【3月2日 AFP】競売大手クリスティーズ(Christie's)が前週行った仏人デザイナー故イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)氏の遺品の競売で、中国清朝時代の文化遺産であるウサギとネズミのブロンズ像を落札した中国人収集家が、落札代金の支払いを拒否している件について、クリスティーズ側は2日、談話の発表を控えた。

 2体を計4000万ドル(約39億円)で落札したのは自分だと名乗り出ているのは、中国で著名な古美術品収集家で、民間組織「海外流出文化財救出基金(National Treasures Fund)」の顧問を務める蔡銘超(Cai Mingchao)氏。

 クリスティーズの広報担当は一連の報道を知っているとしながらも「わが社のポリシーとして、出品者や落札者の身元は明かさないことになっている。今回の件でわが社が次にどう動くかに関しても同様だ」とだけ述べた。

 クリスティーズの競売契約によると、落札代金が支払われなかった場合、該当する品は出品者の合意が得られれば、当初の競売から1か月以内に再度競売に掛けられる。そして最初の競売時よりも低い価格で落札された場合、差額の支払い義務は契約を履行しなかった最初の落札者に課される。

 こうしたケースを避けるため、クリスティーズでは入札予定者らをあらかじめ登録させ、「使用金融機関などへ照会する権利を確保している」という。契約書によれば、落札者には落札後直ちの支払いが求められている。

 クリスティーズによると、中国政府が英仏連合軍に「略奪されたもの」として返還を要求していた2体の像は、落札後の現在もまだパリ(Paris)にある。契約で定められている落札者の引き取り期限は、落札日から7日以内で、4日夜が今回の期限となる。(c)AFP