【11月4日 AFP】20世紀初頭に活躍したロシア人画家カジミール・マレーヴィチ(Kazimir Malevich)の抽象画『Suprematist Composition』(1916年)が、競売大手サザビーズ(Sotheby's)によるニューヨーク(New York)のオークションで4日、5996万ドル(約59億円)で落札された。

 この落札額は、マレーヴィチ作品の過去の最高落札額1700ドル(約16億8000万円)を上回るもの。ロシア人画家の作品が今回のように「パブロ・ピカソ(Pablo Picasso)」クラスの扱いをされたことは、これまで一度もなかった。専門家は最近、裕福層を対象にしたアート市場が冷え込んでいると指摘しているが、今回はそうした傾向に反しての高額落札となった。

 しかし、世界的な金融危機が進む中、アート市場もその影響を免れていはいないというのが、サザビーズやクリスティーズ(Christie's)の専門家の間での一致した意見だ。

 今春に行われたオークションで、モネ(Claude Monet)の『Le Pont du chemin de fer a Argenteuil(アルジャントゥイユの橋)』は4140万ドル(約40億万円)、ランシス・ベーコン(Francis Bacon)の3部作は8620万ドル(約85億円)で落札されたが、今回はこれらの絶頂期とはかなり様相が異なる。

 11月のオークションで目玉となるはずだった予想落札価格3000万ドル(約30億円)のピカソの絵が出品中止になったが、これについてサザビーズのデビッド・ノーマン(David Norman)氏は、「出品者の個人的な理由による」と説明している。(c)AFP