【10月26日 AFP】古代エジプトの儀式で使用されたお香、古代メソポタミアの鼻にツンとくる軟膏、中世フランスで使用された化粧水など、あまり知られていない香水の歴史をたどる博物館が、フランスにリニューアルオープンした。

 フランス南部グラース(Grasse)にあるこの国際香水博物館(International Perfume Museum)は、3年にわたる改築を経て装いを新たにした。18世紀の貴族の邸宅だった建物は、改築によって中世の雰囲気にモダンな要素が加わった博物館へと変身した。

 展示面積は以前の2倍の3000平方キロメートルに拡大され、5万点あるコレクションのうち3000点が、「誘惑」、「癒し」、「コミュニケーション」のテーマ別に展示されている。

 コレクションの最大の目玉は、マリー・アントワネット(Marie-Antoinette)が所持していたという「旅行用」の化粧箱だ。マホガニーとレザーでできたこの化粧箱には、アントワネットが使用したブラシや化粧道具などを入れる引き出しがあり、道具別に収納スペースが小分けされている。

 そのほか、グラースが大きな役割を果たした19世紀の香水産業をテーマにした展示部屋もある。

 以前は香水産業が盛んだったグラースだが、現在ではその中心地としての立場を失っている。しかし、関係者はこの博物館に、香水産業の歴史における中心的な役割を果たしてほしいと考えている。

 同博物館の学芸員は「フランスが大きな役割を担った香水の歴史というのは、ファッションや高級品に関連した産業だというだけでなく、古代から治療、化粧、料理、そして儀式などに使用されていたということも学べるのです」と語る。

 またこのグラースという地名は、ドイツ人作家パトリック・ジュースキント(Patrick Suskind)の小説『香水 - ある人殺しの物語』を映画化し、究極の香りを求める天才調合師を描いた『パフューム ある人殺しの物語(Perfume: The Story of a Murderer)』にも登場する。(c)AFP