【9月22日 AFP】世界的な金融不安が続く中、スポンサーの撤退・予算削減などによって文化・芸術の世界にも影響が波及する可能性が高まっている。

 金融市場の混乱による影響は、既に一部出ている。デザイナーのアレグラ・ヒックス(Allegra Hicks)は、金融不安に絡んだスポンサーの撤退によって、2009年の春夏コレクションを紹介する「ロンドン・ファッションウィーク(London Fashion Week)」を開幕直前に辞退せざるをえなくなった。

 また、北朝鮮の北朝鮮国立交響楽団も、信用不安を背景にスポンサーの銀行が資金提供を見送ったため、初の海外公演となる今月の英国公演を延期することになっている。

 英国の企業メセナ(芸術支援活動)協議会「アーツ・アンド・ビジネス(Arts and Business)」のトップを務めるColin Tweedy氏は「企業などからの資金は数年単位で拠出されているため短期的に問題はないが、中長期的に見れば、芸術活動が企業の関心を再び取り戻すためには非常に多くの努力が必要だろう」と指摘する。

 07-08年の英国の文化活動に対する民間資金は、170の企業130の団体、個人からの資金提供で、約6億ポンド(約1200億円)に上ると推定される。これは04-05年の4億5200万ポンド(約890億円)を上回る額だ。

 だが、こうした順調な資金調達の流れも、米証券大手リーマン・ブラザーズ(Lehman Brothers)の破たんや米保険大手アメリカン・インターナショナル・ グループ(American International GroupAIG)への大型救済などに端を発するかつてない金融不安の中で、後退する危険性が高い。(c)AFP/Elodie Mazein