【6月26日 AFP】小説『悪魔の詩(The Satanic Verses)』でイランの故ルホラ・ホメイニ(Ruhollah Khomeini)師から死刑宣告を受けた作家のサルマン・ラシュディ(Salman Rushdie)氏(61)が25日、文学への貢献が認められ、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)からナイトの爵位を授与された。

 前年6月に授与が発表された際には、世界中のイスラム教徒らがこれを非難した。パキスタンのある閣僚は、同氏への自爆攻撃が発生しても正当化されると発言し、国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)ナンバー2のアイマン・ザワヒリ(Ayman al-Zawahiri)容疑者は、英国への「報復攻撃」を警告。イラン政府も、ラシュディ氏への死刑宣告は撤回されていないことを改めて強調した。

 ラシュディ氏は、「処女作が発売されてから33年、長かったよ。読者が作家に望むことは、いい作品を多く残すことだろう。特定の作品ではなく、これまでの執筆活動が認められたことは、うれしいの一言に尽きるよ」と喜びを語った。

『悪魔の詩』について聞かれると、「これまで執筆したどの作品についてもまったく後悔はない」と答えた。

「今は、(『悪魔の詩』をめぐる)論争を語るときではない。今日は、自分と家族がこれを祝うべき日だ。これまでの経験上、つかの間の喜びだとは思うが、多くの人がとても喜んでくれていると思う」 (c)AFP/Robin Millard