【6月18日 AFP】急速に変化する中国で、アーティストたちはその変化をどのように見ているのか――。その答えを示す美術展がパリ(Paris)のマイヨール美術館(Musee Maillol)で18日に開幕する。

「チャイナ・ゴールド(China Gold)」と題されたこの展覧会の狙いは、中国で起きている大きな変化をアートを通して欧米諸国に見せることだと、学芸員のAlona Kagan氏は語る。

 35人のアーティストたちの油彩画、写真、彫刻、映像作品は、破壊と再生を繰り返す都市、消費主義に対する批判、1989年の天安門(Tiananmen Square)事件、そして、きたる北京五輪を表現している。

 入り口では、指を1本無くした宇宙飛行士の彫刻が来場者を出迎える。この彫刻の制作者Sheng Qiは、天安門事件のあと、自分の指を切断。植木鉢に埋め、中国を出ると、1990年代終わりまで帰国しなかった。

 Qiのように長期にわたり中国を出国するアーティストは多い。その間に海外で創作活動や展示を行う者もいる。

Gaudy Art」と呼ばれる派手なアートを代表するアーティストのひとり、フォン・ジョンジェ(Feng Zhengjie)は、同展覧会のポスターになった肖像画を提供。世界中で展示されている毛沢東(Mao Zedong)のジャケットの巨大な彫刻で有名なSui Jianguoは、腕の彫刻を展示している。

 しかし、中国でも最も有名なアーティストとされている、岳敏君(Yue Minjun)、ルー・ハオ(Lu Hao)、ジャン・シャオガン(Zhang Xiaogang)、王廣義(Wang Guangyi)の4人は、4月にパリで行われた聖火リレーに抗議してこの展覧会に参加していない。

 2007年に行われた現代中国アートのオークションで、岳敏君が1995年に制作した政治色の強い作品は、590万ドル(約6億3700万円)という高額で落札された。北京(Beijing)で活躍するジャン・シャオガンの作品は300万ドル(約3億2400万円)で落札。王廣義は政治的ポップアート・アーティストとして知られている。

 中国の芸術作品は最近、世界の市場で高値で取引されている。これは、中国の経済成長、そして中国のあらゆるものへの興味が国際的に高まっていることの反映だ。(c)AFP