【5月22日 AFP】2004年に盗難に遭い、そのときに受けた損傷の修復作業が行われていたノルウェー人画家エドバルト・ムンク(Edvard Munch)の名画「叫び(The Scream)」と「マドンナ(Madonna)」が21日、オスロ(Oslo)のムンク美術館(Munch Museum)に帰ってきた。

「叫び」に関してはもう1つ、大きなニュースがある。これまで1893年作と考えられていたが、1910年に描かれた可能性があると修正されたのだ。

「文書調査や修復作業の間に行われた様式研究、技術的な調査の結果、後年に描かれたものだという可能性が出てきた。1893年という従来の制作年に関しては、1970年代初頭から専門家の間では論争が起こっていた。現在、博物館側の見解は多数意見と一致している」と語るのは、ムンク美術館のインゲビョルグ・イッヅティ(Ingebjoerg Ydstie)館長。

 イッヅティ館長はさらに、制作年に関する議論をこれで終えるつもりはないといい、今後さらに技術的な調査を進め、より正確な答えをを出すことになるだろうと語った。

「叫び」は「マドンナ」とともに、2004年にムンク美術館から盗まれた。2006年8月に無事に発見されたものの、湿気や引っかき傷などによる損傷が激しかった。これまで細心の注意を払って修復作業が行われてきたが、「叫び」の左下隅にできた液体による損傷跡は現代の技術では取り除けないと判断された。

 修復作業後初めて21日に報道陣に公開された2作品は、23日から同美術館で「『叫び』、『マドンナ』との再会」展で一般公開される。(c)AFP/Pierre-Henry Deshayes

「ムンク美術館」の公式ウェブサイト(英語)