【5月22日 AFP】アフガニスタンの古代工芸品228点が25日から、米国のワシントン国立美術館(National Gallery of Art, Washington DC)で公開される。展示作品の多くは、長きにわたる戦争で失われたと思われていたものだ。

 展覧会のオープニングセレモニーに出席したアフガニスタンのアブドゥル・カリム・ホラム(Abdul Kaim Khuram)文化相は、「この展覧会のためにわれわれが集めた展示品は、わが国の数千年の歴史の証人だ」とスピーチした。

Afghanistan: Hidden Treasures from the National Museum Kabul(アフガニスタン:カブール国立博物館の秘宝)と題されたこの展覧会は、紀元前2200年から紀元後2世紀までの工芸品を展示する。

 首都カブール(Kabul)から北に60キロのバグラム(Bagram)で発見されたインドの象牙、ヘレニズムのブロンズ像、ギリシャ・ローマ風のグラスは、当時のアフガニスタンがシルクロードの十字路、インド・中国・ギリシャ古代文明の中継点だったことを物語る。
 
 展覧会の最大の目玉は、宝石が散りばめられ、葬祭用の装飾が施された2000年前のバクトリアン・ゴールドだ。紀元前1世紀ごろに遊牧民の高位の女性が身につけていたとされる金の王冠、紀元前約2200年の金の椀のかけらなども展示される。

■勇敢な博物館職員が救った

 これらの工芸品は1978-1989年の対ソ戦争とそれに続く内戦、1990年代後半のタリバン(Taliban)政権による破壊活動で消失したと思われていたが、勇敢な博物館職員が一部を中央銀行の地下室に運び入れて保存していた。そうした事実は2003年に明らかにされた。

 シルクロードの中心地として、さまざまな文化と文明が何世紀にもわたりモザイクのように混じり合ったアフガニスタン。工芸品にもその特徴が如実に現れている。サイド・タイェブ・ジャワド(Said Tayeb Jawad)駐米大使はオープニングセレモニーで、「(文化と文明の)モザイクは戦争とテロで粉々になったが、アフガニスタン人の精神とその文化遺産は生き残った」と述べた。

 展覧会の利益の約40%は、1988年にソ連軍により爆撃され、内戦下にあった1990年代には略奪にあったカブール国立博物館の修復費用にあてられるという。1996-2001年のタリバン政権下では「偶像崇拝」だとして多くの展示品が破壊された。

 この展覧会は今後1年半をかけ、ニューヨーク(New York)のメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)など全米を巡回する。(c)AFP