【5月15日 AFP】アイルランドの画家フランシス・ベーコン(Francis Bacon)の3連作『Triptych 1974-77』が14日、米ニューヨーク(New York)で競売会社サザビーズ(Sotheby's)の競売にかけられ、ベーコンの絵画作品では過去最高額となる8620万ドル(約90億2000万円)で落札された。

 1976年制作のこの作品は、1年前に同作家による『Study for Innocent X』(1962年制作)が付けた過去最高額5260万ドル(約55億円)を大きく上回った。

 サザビーズはこの作品について個人所蔵のベーコン作品で最も重要と位置付けていた。1977年にパリ(Paris)のクロード・ベルナール画廊(Galerie Claude Bernard)で開かれた展覧会で買い上げられて以来、同じ収集家の手元にあった。

■活況を呈する美術市場

 この日の競売では予想額を上回る高額落札が複数あり、売り上げ総額は3億6200万ドル(約379億円)に達した。サザビーズの現代美術部門責任者Tobias Meyer氏によると、同社の現代美術の総売り上げとしては過去最高を記録したという。出品数は普段をはるかに上回る83点で、貴重なHelga and Walter Lauffs氏のコレクションからのものが大半を占めた。

 フランスの画家イブ・クライン(Yves Klein)の作品3点が予想額よりかなり高額で落札されたほか、村上隆(Takashi Murakami)の『マイ・ロンサム・カウボーイ(My Lonesome Cowboy)』も、予想額300-400万ドルの3倍以上となる約1510万ドル(約15億8000万円)で落札された。

 前日には、競売会社クリスティーズ(Christie's)の競売で英国の画家ルシアン・フロイド(Lucian Freud)の裸婦像『Benefits Supervisor Sleeping』が、存命中の画家の作品としては過去最高の3400万ドル(約35億6000万円)で落札された。

 サザビーズとクリスティーズが前週行った印象派作品の競売の盛況に引き続き今週も、国際的な美術市場は米経済の低迷に影響を受けていないことを示した。(c)AFP