【4月13日 AFP】米首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)で11日、「ニュージアム(Newseum)」と名付けられた報道博物館がオープンした。ニュージアムは古代の粘土板への走り書きから最新のデジタル技術までニュースの歴史を総合的に扱うジャーナリズムの聖地となる。

 ワシントンD.C.に誕生したばかりのこのきらびやかな観光アトラクションは、4億5000万ドル(約450億円)の巨費を投じて建設され、「世界中で最もインタラクティブ(参加型)な博物館」と自称する。

 過去に発行された新聞の第一面や歴史的事件などの報道写真数千点、数百時間分の報道映画、双方向型ゲームなどが14の展示室、15の映画上映室、2つのテレビスタジオなどで楽しむことができる。

 この博物館建設を発案したのは、米新聞大手USAトゥデー(USA Today)を創業したアル・ニューハース(Al Neuharth)氏が設立した非営利財団法人Freedom Foundation。ジョー・アーシェル(Joe Urschel )館長はこの財団について、「言論の自由、報道の自由、そして自由な精神に大きな役割を果たしてきた」と評している。

 博物館の正面の大理石には、「言論または出版の自由を制限する法律を制定してはならない」などを含む45単語の米国憲法修正第1項が巨大な文字で刻まれている。

 アーシェル館長はAFPの取材に、「ニュージアムはニュースと自由な社会における自由な報道の重要性に力点を置いた博物館」だとコメントしている。

 ニュージアムは、ホワイトハウス(White House)と米議会の間のペンシルベニア通り(Pennsylvania Avenue)に面した一角に位置する。建築と展示品の収集には10年以上が費やされた。同博物館のURLはwww.newseum.org。

 巨大なビデオスクリーンが設置され、ガラス素材を多用したエレベーターが地階と7階を行き来するGreat Hall of Newsと呼ばれる正面入り口ホールの吹き抜けには現代報道の象徴ともいうべきNBC系テレビ局KXAS-TVの報道ヘリコプターと通信衛星が展示されている。

 過去にさかのぼれば15世紀の大発明・活版印刷から3262年前に作られたくさび形文字が記された粘土板までカバーされている。

 ニュースの歴史の展示では、展示ケースの中に過去500年の紙面3万5000点から選ばれた一面記事350点が並ぶ。

 米Baltimore News Postが1939年9月1日、「ヒトラー、ポーランド進攻(Hitler Attacks Poles)」との見出しで報じた第2次世界大戦勃発の記事や、1945年8月15日にロサンゼルス・タイムズ(Los Angeles Times)がわずか一語「和平(Peace)」との見出しで終戦を伝えた記事などもこれらの展示に含まれている。(c)AFP/Chris Lefkow