【3月31日 AFP】建築界のノーベル賞といわれる2008年度の「プリツカー賞(Pritzker Prize)」の発表が30日にワシントンD.C.(Washington D.C.)で行われ、仏建築家のジャン・ヌーベル(Jean Nouvel、62)が受賞した。

 同賞を主催する米ハイアット財団(Hyatt Foundation)は、「新しいアイデアの勇気ある追求、建築界の境界線を広げるための規範への挑戦」を授賞理由としている。特に「創造性、豊かさ、クリエイティブな実験へのこだわり」が高く評価された。ある審査員は「従来の建築的課題への新しいアプローチを喚起させてくれる」と評している。

 ヌーベルは、受賞コメントの中で、自分の作品を「歴史を再考するのではなく、同時代の現代性を反映したもの。今起きていること、われわれに今何ができるのかを扱ったもの」と説明した。

 ヌーベルの代表作は、パリに1987年オープンしたアラブ世界研究所(Arab World Institute)だ。ビルの一面にアルミパネルを取り付けることで、採光を自動調節する仕組みを実現した。

 パリに2006年オープンしたケ・ブランリー美術館(Musee du Quai Branly)では、ビルの一面にジャングルを思わせるブルーグリーンのステンドグラスを張って自然光を入れ、別の一面には黒いガラスと穴の開いたメタルスクリーンを重ね合わせて、光が波打つような効果を与えた。

 パリのカルティエ現代美術財団(Cartier Foundation for Contemporary Art、1994年)展示施設、スペイン・バルセロナ(Barcelona)のアグバールタワー(Agbar Tower、2005年)、リヨン(Lyon)のオペラハウスでも名を馳せている。現在はデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)に斬新なデザインのコンサートホールを建築中だ。

 プリツカー賞は、1979年に「才能とビジョン」ある建築家を表彰する目的で設立された。賞金は10万ドル(約1000万円)。過去の受賞者には米のフランク・ゲーリー(Frank Gehry)、リチャードー・マイヤー(Richard Meier)、ノーマン・フォスター(Norman Foster)が名を連ねる。フランスでは、1994年のクリスチャン・ド・ポルザンパルク(Christian de Portzamparc)に次ぐ2人目の受賞となる。(c)AFP