【3月24日 AFP】アフリカの現代アートは、これまで過小評価されてきた。だが、13-16日に南アフリカで開催されたアートフェアで販売総額が190万ユーロ(約2億9000万円)を超えた事実が、アフリカンアートが国際社会でも認められつつあることを物語っている。

 ヨハネスブルク(Johannesburg)で開催された「JoburgArtFair」は、アフリカ大陸初のアートフェア。アフリカ各地の有名・新進アーチストの作品が1000ランドから500万ランド(約1万2000-6000万円)の価格で、5000平方メートルのホールに展示された。

 木彫りの仮面や張り子といった典型的なアフリカン・アートのイメージから脱却したいという意図からか、さまざまな媒体を使用した作品が多く見受けられた。

たとえば、ドイツを拠点にするギャラリー「Galerie Peter Herrmann」が出品した作品の1つは、一見したところゴミの山にしか見えないが、近付いて見ると、作品を構成する紙、竹、金属片が「手足をもぎとられた人」に見える。アフリカの貧困、犯罪、戦争といった社会問題を題材にした作品だ。

 また、周りを注射器や空の薬瓶で飾り立てたジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領のポートレートといった、より広い世界的視野に立った作品も登場。

 4日間の会期中の来場者は6000人を超えた。主催者のロス・ダグラス(Ross Douglas)氏は、海外、特に欧州のバイヤーが多いことに驚きを隠せなかったと言う。平均購入額でも、欧州のバイヤーは5万-10万ランドと、南アフリカのコレクターをはるかに上回っていた。

 同氏によると、アフリカにおいてアートコレクターなるものが存在する国は、比較的裕福な南アフリカのみ。南アフリカは美術教育にも熱心で、大学の大半に美術学部が置かれている。同国で美術への関心が高まってきたのは国民が洗練されてきたため、または投資価値が認識されてきたため、との指摘もある。

 ともあれ、アートを教える学校がなく、アーチストはすべて独学というカメルーンのような国とは対照的だ。

 ケープタウン(Cape Town)のあるギャラリー関係者は、アフリカのアーチストはもっと世界に紹介される必要があり、こうしたアートフェアの機会を増やすべきだと語る。「アフリカンアートは、露出度が少なく適正な価格がつけられていないという点で、国際的なアートシーンから立ち遅れ、過小評価されているのです」(c)AFP