【3月24日 AFP】ナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)に重用された建築家の息子アルベルト・シュペーア(Albert Speer)氏(73)が1936年のドイツ・ベルリン五輪で使用されたサッカースタジアムの改修事業を手がけることが、ドイツで物議を醸している。

 問題となっているのは、ベルリンを本拠とするドイツ4部リーグ所属のサッカーチーム、テニス・ボルシア・ベルリン(Tennis Borussia Berlin)による、ベルリン中央駅に近いミッテ(Mitte)地区にあるスタジアム「Post Stadion」の総工費1600万ユーロ(約24億5500万円)の改修工事。

 座席数1万6000席の最新設備を兼ね備えたスタジアムに生まれ変わらせるというもので、2009年夏の再オープンを目指す。

 関心を示している投資家もいるといわれているが、日刊紙ターゲスシュピーゲルTagesspiegelによると、当局は疑念を持っており、4月15日にミッテ地区の都市計画当局で開発計画の説明が行われるという。

 同区長は「テニス・ボルシアがこの計画を5年前に持ち込んでいたらわれわれも関心を示した」と話している。

 最盛期には6万の観客数を誇ったPost Stadionだが、1990年代にドイツ・ブンデスリーガ1部のヘルタ・ベルリン(Hertha Berlin)がオリンピアシュタディオにホームを移転してからは、閑散とした状況が続いていた。

 保存建築に指定されているメーンスタンドは、新しいスタジアムにそのまま組み込まれる予定だという。

 シュペーア氏と同姓同名の父は、ヒトラーに見込まれた建築家で、ナチス・ドイツが第2次大戦に勝利していれば、ナチスが提唱した「第3帝国」における都市計画を任される予定だった。

 ベルリン五輪では、ヒトラーも同スタジアムでサッカーのドイツ対ノルウェー戦を観戦したが、この時の試合でドイツは敗戦している。(c)AFP