【3月15日 AFP】オーストリアの作曲家モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart)のこれまで知られていなかった肖像画が見つかった。モーツァルトの死後最も重要な発見だとして、英ロンドン大学キングズカレッジ(King’s College London)のクリフ・アイゼン(Cliff Eisen)教授が発表した。

 数百万ドルの価値があるともみられる新発見の肖像画は、オーストリアのザルツブルク(Salzburg)に住むモーツァルト家と親しかったJohann Lorenz Hagenauerさん家族が所有していた。

「これはほぼ間違いなく、1791年のモーツァルトの死後最も重要な発見だ。彼がウィーン(Vienna)にいた頃のもので、正真正銘の肖像画としては4枚目になる」とアイゼン教授は話す。

 アイゼン教授は高さ約48センチ、幅約35センチの油彩で描かれた、赤いジャケットを着るモーツァルトの横顔の肖像画が本物であることを証明するために幅広い調査を行った。モーツァルトと彼の家族の手紙や記録文書、不動産の競売記録などを研究した結果、1783年頃にオーストリアの宮廷画家Joseph Hickelによって描かれたものであると確信した。

 また、所有していた一家の言い伝えでは、Hickel家の人のためにモーツァルトが作曲したお礼として贈られたものであるという。2005年に肖像画を購入したある米国人コレクターは、その重要さに気づいていなかった。

 英国北部シェフィールド大学(Sheffield University)のSimon Keefe教授とJames Rossiter氏はアイゼン教授が報告した肖像画の来歴は「説得力のある発見」で「本質的に重要」だと言う。同教授らは「言うまでもなくこの発見は、私たちにさらなる新しいモーツァルトの外見を想像させるだろう」と語り、「新しい肖像画はすぐにでも他2枚の有名な肖像画、モーツァルトの義理の兄ヨーゼフ・ランゲ(Joseph Lange)が描いた未完成のものと、Barbara Kraftがモーツァルトの死後描いたものと肩を並べて、人々が持っているモーツァルトのイメージに貢献すべきだ」と主張している。

 1756年、ザルツブルクに生まれたモーツァルトは1781年にウィーンへ移住し、多くの名曲を作曲した。(c)AFP