【12月18日 AFP】盗掘により国外に流出した古美術品の回収を進めるイタリアのローマ(Rome)で17日、米ロサンゼルス(Los Angeles)のJ.ポール・ゲッティ美術館(J.Paul Getty Museum)などから返還された古美術品68点が公開された。

 会場となった大統領官邸クイリナーレ宮(Quirinale Palace)で記者会見を行ったフランチェスコ・ルテリ(Francesco Rutelli)文化相は、「不正取引や論争は終わり、協力の時代に入った」と晴れやかな表情で語り、個人収集家からの返却も進んでいることに言及。古美術品界の新時代を歓迎した。

■注目されたゲッティ美術館からの返還

 今回最も注目を集めたのは、約2年におよぶ激しい論争を経てゲッティ美術館から返還された42点の古美術品だ。ボストン美術館(Boston Museum of Fine ArtsMFA)やメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)と交わしたものと同様の契約がローマ市とゲッティ美術館の間で取り交わされ、それに基づき返還された。契約には、作品の長期貸し出しや展覧会の共催も規定されている。ただし、紀元前5世紀の作品とされる「アフロディーテ(Aphrodite)」の返還は2010年となる。

 所有権をめぐり激しい論争となっていたもう1つの作品、「Statue of a Victorious Youth(勝利した若者の像)」については、協議を延長することで双方が合意している。「ゲッティ・ブロンズ(Getty Bronze)」とも呼ばれるこの作品は、紀元前4世紀に制作され、現存する古代ギリシャ時代の最も素晴らしいブロンズ像の1つといわれている。ゲッティ美術館はこの像を、1977年に約400万ドル(約4億5200万円)で入手した。像はイタリア人漁業従事者により海中から発見されたとされるが、イタリア政府当局はこれを違法に国外に流出したと主張。これに対し同美術館は、盗掘品と知りながら購入することは絶対にないと反論している。

 同美術館は、問題となっている美術品の多くを、スイスのジュネーブ(Geneva)を拠点に活動するイタリア人ディーラー、ジャコモ・メディチ(Giacomo Medici)被告を介して入手している。メディチ被告はイタリアで、美術品の不法取引に関して10年の禁固刑を言い渡され、上訴している。さらに被告と取引を行っていた同美術館の元学芸員Marion Trueも、ローマで係争中だ。

 今回の展覧会のため、ゲッティ美術館からギリシャに返還された紀元前6世紀の大理石の少女像もイタリアに貸し出されている。

■そのほかの美術館からも多数返還

 ボストン美術館からは、2世紀に作られた大理石のローマ皇后像「Vibia Sabina」を含む12点が返却された。Vibia Sabinaは今回の展覧会の目玉のひとつ。またメトロポリタン美術館からは6点、ニュージャージー(New Jersey)州のプリンストン大学美術館(Princeton University Art Museum)からは1点がそれぞれ返還された。返還された美術品は、21日から2008年3月2日まで一般公開される。(c)AFP/Gina Doggett