【12月14日 AFP】英国ロンドン(London)の英国図書館(British Library)は12日、2005年にノーベル文学賞を受賞した劇作家、ハロルド・ピンター(Harold Pinter、77)氏の手書き原稿やメール、手紙など150箱分を110万ポンド(約2億5000万円)で購入したことを明らかにした。

購入されたものの中には、アイルランドの劇作家サミュエル・ベケット(Samuel Beckett)、英詩人フィリップ・ラーキン(Philip Larkin)、米劇作家アーサー・ミラー(Arthur Miller)、英劇作家ジョン・オズボーン(John Osborne)らと交わした書簡や、ピンター自身の少年時代の思い出を記した未発表作『The Queen Of All The Fairies(すべての妖精たちの女王)』の原稿などが含まれる。

 テッド・ヒューズ(Ted Hughes)やグレアム・グリーン(Graham Greene)といった英国が誇る作家ゆかりの文書類はこれまでに多数、海外に流出している。今回の購入により同図書館は、そうした「遺産」の新たな流出を防いだことになる。

 同図書館の職員は「わが国が生んだ現存する最高峰の劇作家」の文書類を入手できて「興奮している」と語った。

 ピンター氏はロンドンで育ち、その代表作に『誕生パーティー(The Birthday Party)』や『帰郷(The Homecoming)』などがある。

 2002年には食道がんを患い、近年では人権活動家として活躍するとともに、米国の外交政策に対する批判の声も上げている。(c)AFP