【12月12日 AFP】現在ドイツ北部のハンブルク(Hamburg)で開催中の展覧会に展示されている兵馬俑のうち、8体が偽物である可能性が出てきた。警察当局の調査を受けて、展覧会を行っている民族学博物館が明らかにした。

「展覧会は続行するが、展示物が偽物の可能性があるという文面を入り口に掲示する」と同博物館の広報担当Marina Lifschitz氏は語った。同氏によれば、これまでの来場者は、博物館に入場料の返還を求めることも可能だという。

 「死の力(Power in Death)」と題された同展覧会は11月25日から行われており、秦の始皇帝(Qin Shihuang)の陵墓に埋葬されていた数千の兵馬俑の一部が展示されている。これまでの来場者は約1万人。これらの兵馬俑が発見されたのは1974年で、20世紀で最も考古学的に重要な発掘のひとつと考えられている。

■兵馬俑の故郷、陝西省当局の許可が必要だが・・・

 警察に偽物の可能性があると苦情を出したのは、美術品ディーラーのRoland Freyer氏。中国人専門家からの指摘を受けて、申し立てを行った。同氏は今回の展覧会を共同主催したライプチヒ(Leipzig)の中国芸術文化センターの創設者のひとり。

「民族学博物館の8体の兵馬俑は、本物ではありえない。本物の展示には、兵馬俑が発掘された陝西(Shaanxi)省当局の許可が必要になる。わたしは9月、陝西省にいたので、同展覧会について当局に伝えた。しかし、彼らは何も知らなかった。そこで、展覧会について調査し、展示物が偽物でしかありえないという結論を出した」と同氏は語った。

 さらに同氏は、許可を受けた複製を展示することには問題はないが、今回の展覧会の主催者は本物だと宣伝しているとして非難し、展覧会の中止を求めている。

■中国の専門家を呼んで、まもなく真贋を判定

 博物館側は、展示物は撤去せず、中国から専門家チームを呼び、展示された兵馬俑の信ぴょう性を断言してもらうという。うち1人は、1974年の発掘に携わった人物という。

 Lifschitz氏によれば、展示された兵馬俑は中国から船でハンブルクに輸送されたもので、博物館側はそれらが、中国が世界中に貸し出している100体の兵馬俑のうちの一部だと信じていたという。ロンドン(London)の大英博物館(British Museum)でも現在、約20体の兵馬俑が展示された展覧会が4月までの予定で行われている。

 ベルリンの中国大使館は、「同展覧会については何も知らない。中国からも情報が届いていないため、何も言えない」とコメントを避けた。

 同展覧会は当初、10月にスタートする予定だったが、数週間遅れて開幕した。当時、ドイツ国内では、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相がダライ・ラマ(Dalai Lama)14世と会談したことに中国側が激怒したことが遅延の原因ではないかと推測されていた。(c)AFP/Emsie Ferreira