【10月13日 AFP】2007年のノーベル文学賞を、英国の女性作家ドリス・レッシング(Doris Lessing)氏(87)が受賞したことに対し、「80歳代後半の偉大な作家がついに同賞を受賞した」と、世界の文学・出版界から祝福の声が上がっている。現在開催中のフランクフルト・ブックフェア2007(Frankfurt Book Fair 2007)の会場で、AFPが関係者にインタビューした。

「素晴らしいことだ。もちろん、我々は予想していなかったし、ドリスもまったく予想していなかった」と語るのは、出版社ハーパーコリンズ(Harper Collins)でレッシングを担当する編集者Nicholas Pearson氏。レッシングの名前はこれまで何度もノーベル文学賞候補に挙がっていたが、彼女自身は、そのことについて一度も話したことがないという。「彼女は間違いなく、この60年間で最も偉大な作家のひとり。今回の受賞で、若い世代が彼女の作品に注目してくれることを望んでいる」とPearson氏は付け加えた。

 英国のフェミニスト作家のフェイ・ウェルドン(Fay Weldon)氏は、友人の受賞に歓喜したと話す。「信じられないぐらい、とても嬉しい。彼女は受賞に値するわ」。レッシングの1962年の作品『黄金のノート(The Golden Notebook)』に、作家として刺激を受けたことについても触れ、「女性の生き方について真実を書くことができるということを、ドリスは教えてくれた。彼女はとても勇敢で、英国人らしい責任感を持ち合わせている。本格的な文芸作家が文学賞を取れるなんて、本当に喜ばしいことだと思う。政治的な内容の作品もあるけど」と語った。ウェルドン氏によると、彼女は今も執筆活動を続けているし、元気だという。そして、「彼女は文章の一つひとつが長く、昔は執筆するのにとても苦労していた」との思い出を述べた。

 『薔薇の名前(The Name of the Rose)』などで知られるイタリア人作家ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)も、レッシングは受賞して当然だと話す。エーコは、フランクフルト・ブックフェア2007に、最新作を出品している。ノーベル文学賞受賞の可能性は非常に低いとされていた。「受賞をとても喜んでいるよ。彼女ほどではないけどね」とエーコ氏は語った。(c)AFP