【9月6日 AFP】10月4日に開幕する第12回釜山国際映画祭(12th Pusan International Film Festival)の記者会見が4日に行われ、詳細が発表された。

 アジア最大規模の映画祭の1つである同映画祭では今年、64か国から出品された275作品が9日間にわたり上映される。中でも注目を集めているのは、日本、中国、インドの大作映画、そして東南アジアの独立系作品だという。

「日本、中国、インドは昨年、素晴らしい興行成績を収め、その大作映画は、確固たる地位を占めている」と、同映画祭のKim Ji-Seok実行委員長は語る。「フィリピンやマレーシアにおける独立系作品の目覚ましい成長ぶりも、今年の映画祭の注目すべき点の1つだ」
 
 独立系の期待作の1つは、フィリピンのBrillante Mendoza監督による『Foster Child』。これは、マニラ(Manila)のスラム街で子どもたちの世話をする里親の女性を描いたもの。そのほか、シンガポールのKan LumeLoo Zihanの共同監督作『Solos』なども話題だ。『Solos』は、教師と生徒の同性愛の関係を描いた作品で、その描写が物議を醸している。

 日本からの出品作品は、カルト的人気を誇る小林政広(Masahiro Kobayashi)監督による『愛の予感-Rebirth(The Rebirth)』や、行定勲(Isao Yukisada)監督の『遠くの空に消えた(Into the Faraway Sky)』など。邦画は韓国で2006年興行収入の半分を占めていたことから、同国映画産業の注目の的となっている。
 
 インドからは、英国人と地元住民との友情と葛藤を描いた、Santosh Sivan監督の『Before the Rains』や、社会で出世しようとする野心的な男を描いたボリウッド(Bollywood)らしいMani Ratnam監督の『Guru』が出品される。

 オープニングを飾るのは、中国のフォン・シャオガン(Feng Xiaogang)監督の『Assembly』。中韓合作のこの作品は、国民党と共産党による内戦で戦死した兵士を描いたもの。

 クロージング作品は、庵野秀明(Hideaki Anno)が総監督、鶴巻和哉(Kazuya Tsurumaki)、摩砂雪(Masayuki)両氏が監督を務める『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』。この作品は、1995年から1996年にかけてテレビで放送された人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン(Neon Genesis Evangelion)』の最新劇場版。

 この映画祭で唯一のコンペ部門である「新しい波」には、いずれもインターナショナル・プレミアとなる11作品が出品されている。同部門で選出される3人の新人監督には、賞金として各人に30万ドル(約345万円)が贈られる。

 そのほか、台湾の故エドワード・ヤン(Edward Yang)監督に、アジア映画制作者賞(The Asian Filmmaker of the Year)が贈られることが既に決定している。6月に死去したヤン監督は、『ヤンヤン 夏の想い出(Yi Yi: A One and A Two)』で、第53回カンヌ国際映画祭(53rd Cannes Film Festival)の監督賞を受賞した。映画祭期間中はヤン監督の作品が回顧上映が行われ、授賞式では夫人のKaili Pengさんが代理で受賞する予定。(c)AFP